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彼は獣人の蛇である


遅ればせながら、あけましておめでとう

ございます!

これからもコツコツの書いていきますので

読んでいただけたら、とても嬉しいです!




   「そういえば、マスターも蛇などあまり

   怖がりませんな」


   郁人達が大樹の木陰亭の下にある

   草原でピクニックしていると

   ポンドが突然告げてきた。

   ユーと遊んでいた郁人は目をぱちくり

   させる。


   「いきなりどうしたんだ?」

   「いえ、ユー殿と遊んでられるマスターの

   姿を見てふと思いましてな。蛇を怖がられる

   方は多いですからな」

   「たしかに。蛇を怖がる者は多い。

   攻撃性のない魔物を恐れる必要はない

   のだが、蛇の姿をしていれば逃げ出す

   者は多いんだ。虫の姿をした魔物と並ぶ

   ほど怖がられているな」


   蛇や虫の魔物を見た途端に逃げる

   冒険者もいるとジークスは告げた。


   「獣人でも蛇の獣人なら怖がる奴も

   いるな。俺の場合は毒持ちだから尚更な」

   「毒もってるの?! 体は大丈夫なのか?!」


   不調はないか心配する郁人に篝は

   問題ないと口角をあげる。


   「心配いらねえよ。俺の体内で作られた

   毒だからな。免疫があるんだよ」

   「どのような毒を持っているんだ?」

   「俺の毒は"出血毒"だ」

   「出血毒?」


   篝の言葉に郁人は首をかしげる。


   「その、出血毒って……?」

   「出血毒はな……」

   「出血毒は体内に入れば血管や筋肉といった

   組織を破壊する毒だよ」

   「チイトっ!! 人が説明しようと……!!」

   「彼は郁人に説明することが好きだからな」

   〔この猫被り、あんたに説明するのを

   ことごとく邪魔するものね……〕


   篝はチイトに説明を横取りされ、

   ジークスは苦笑し、ライコは呆れた。

   役割を奪われて不満な篝にチイトは

   鼻で笑う。


   「貴様の語彙力ではパパにわかりやすく

   伝えるのは難しいだろうと配慮して

   やったんだが?」

   「お前なあ……!!」

   「2人とも落ち着いて!! えっと、

   篝はその耐性があるから自分の毒も

   平気なんだよね?」


   火花を散らす2人の間に入った

   郁人は篝に尋ねた。篝は頷く。


   「そうだ」

   「じゃあ、その毒って篝のどこに

   あるんだ? 見た目じゃわからないけど」


   どこだろ? とじっと見て探す郁人に

   篝は口を開いて見せる。


   「この牙にあるんだよ。毒腺だったか?

   それがこの上の牙に導管で通じてんだよ。

   これで噛めば相手は毒状態になる。

   俺はこの毒を専用の魔道具で抽出して

   武器に仕込んだりするがな」 


   篝はホルダーからその魔道具を   

   取り出して見せる。 

 

   「これがその魔道具だ。これを噛めば

   自動で毒を抽出してくれる便利なものでな。

   値は少し張るがいい代物だ」

   「……その魔道具は購入できる者が

   限られている代物ではないか?」

 

   ジークスは魔道具をじっと見たあと

   尋ね、思った理由を述べる。

   

   「その魔道具に刻まれた刻印は獣人族の

   多い国である"アニンナ"にて特定の者、

   上層階流しか入れない魔道具屋の代物

   だと思われるが?」

   「………よく知ってるな」

   「なに、たまたま知っていただけだ。

   君、やはり上層階流の一族なんじゃ

   ないか?」  

  

   ジークスの質問に篝は苦虫を噛み潰した

   ような表情を浮かべたあと、しぶしぶ

   答える。


   「……そうだ。これは国に仕える貴族しか

   購入することが出来ねえ魔道具屋のだ」

   「篝って貴族だったのか?!」

   「"元"だがな。俺の家は王族を護る

   ことを使命とした家なんだが、俺は

   向いてないと思ってな。冒険者に

   なるからって家を抜けたんだ。

   だから、苗字も無いんだよ」


   ただの冒険者だと篝は説明し、

   聞いたポンドが尋ねる。


   「カガリ殿ほどの腕前でしたら

   家族から継ぐように言われたのでは?」

   「姉貴がいるから問題ねえよ。

   俺が抜けたことで家督争いをする必要が

   なくなったから向こうからしたら助かった

   だろうな」


   無駄に争う必要がなくなったからな

   と篝は告げた。


   「家督は継がねえし、冒険者になる

   つもりだって言えば感謝されたぐらい

   だからな。俺に継がせようとした連中

   は項垂れてたがよ」

   「抜けたってことはもう会えないのか?」

   

   家族に会えないのかと心配する郁人に

   篝は首を横に振る。


   「いや、泥沼展開0だったからな。

   たまには顔を見せに来いって言われ

   てるぐらいだからな。弟が会いたい

   とか言ってうるさいと姉貴から手紙

   が来るくらいだからな」

   「篝ってお姉さんもだけど、弟も

   いたんだな! お姉さんは前の世界でも  

   いたから違和感ないけど」

   「俺も姉貴がいることに関しては

   慣れてるんだが、弟はあまり慣れねえ

   な。あんなにしつこいもんなのか?」


   腕を組んで考え込む篝は告げる。


   「ずっと俺の後ろをついてきて、

   なにかしようにも俺の真似してきてな。

   俺が家を出る時はすごい嫌がってな」

   「その状況を見てないからはっきりと

   言えないけど、下の子は上の子を真似

   したがるって聞くからそうなんじゃ

   ない? 」

   〔あたしもよく聞くわ。同じものを

   欲しがったり、同じことをしたがるって〕


   郁人は自分の考えを述べ、ライコは

   同意した。


   「俺は妹がいるが、あまり関われ

   なかったから何とも言えないな」

   「私は兄弟がいたのか覚えておりま

   せんので……」

   「…………」

   

   ジークスは頬をかき、ポンドは

   眉を下げた。チイトは興味がないのか

   本を取り出して読んでいる。  


   「そういうものなのか?」

   「まあ、兄弟関係はそれぞれだからね。

   でも、篝の弟さん会ってみたいかも!

   篝って弟のいるイメージないから、

   どんな子か見てみたいし、それに

   篝はあまり家族の話とかしないから」

   〔そういえば、こいつあまり家族の

   話とかしないものね! 前の世界でも

   そうだったのかしら?〕

   (うん。あまりしなかったな。

   今みたいに会話の流れで聞くみたいな

   感じだよ)


   郁人は思い出しながら答えていると

   篝は口を開く。


   「………断る!! 俺の弟もだが、俺の家

   いろいろ面倒なのいるからな!!」

   「なんで?! 家を抜けても交流が続いて

   いるならそこまで面倒そうに思えない

   んだけど!?」


   篝は(かたく)なに断り、郁人が何度も

   お願いしてもその姿勢は変わらなかった。



   ーーーーーーーー



   篝と郁人の姿を見ながら、ポンドは

   不思議がる。


   「なぜあそこまで会わせることを

   嫌がるのでしょうな?」

   「家族に冒険者に対して良い印象を

   持っていないものがいるのだろうか?」

   「………単純にパパの関心が他にいく

   ことを嫌がっているだけだろ」


   はてなマークを浮かべる2人に

   チイトがため息を吐きながら告げる。


   「あいつは前からパパの関心が

   自分以外に向くことを嫌がっていた

   からな。家族に対しても独占欲を発揮

   してパパに近づけることを極力避けて

   いたりしたぞ」

   「では、弟君といった家族に会わせる

   ことを嫌がっていたのは……」 


   ポンドの言葉にチイトは同意する。


   「パパの興味が自分以外にいくのが

   嫌だからだ」

   「………なんとも、彼らしいといえば

   彼らしいと言うべきか」


   納得したジークスは篝を見て苦笑した。

   

   

   

ここまで読んでいただき

ありがとうございました!

面白い、続きが気になると

思っていただけましたら

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