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ありったけのプレゼントを




   去年より寒さがきつくなり、雪が

   降り積もるクリスマス。

   今年は篝も参加するクリスマスに

   なったのだが……


   「いくらなんでも多すぎるでしょ?!」


   玄関に積み上げられたプレゼントの山に

   郁人の妹は悲鳴をあげた。


   ーーーーーーーー



   「ごめんなさいね。この子ったら

   渡すんだって張り切っちゃって……」


   居間にて出されたお茶をいただきながら

   謝るのは篝の隣に座る、篝の母である、

   "桃山真姫"だ。

   

   今回、真姫が郁人の家にいるのはプレゼント

   の山を渡すため、篝が頼んで真姫にここまで

   車で送ってもらったからだ。


   「クリスマスにはまだ早いって頃から

   郁人はこれ気に入るか? とかもうこの子

   なりに彼が気に入りそうなものを集めて

   たのよ」

   「それでこの量とは……恐れ入るな」


   祖父が背後の山を見る。

   その山は全て篝からのプレゼント。

   そのラインナップはお菓子から

   ブレスレット、花や筆記具などと多種

   多様だ。


   「期限が近いものは手前に置きたいから

   期限のチェックをしないとねえ」

   「もう!! お菓子とか多すぎるわよ!!

   冷蔵庫に入りきらなかったらどうする

   のよ?!」


   台所のほうから冷蔵庫に仕舞にいった

   祖母の声と妹の悲鳴が聞こえるくらい

   にはとくにお菓子の量がすごい。

  

   背後にあるプレゼントの山に目を

   ぱちくりさせていた郁人は尋ねる。


   「篝、どうしてこの量になったの?」

   「その……お前は菓子とか好きだろ?

   あと、絵を描くの好きだから筆記具とか

   アクセサリー系を持ってなかったから

   妹とかと被らないだろとか考えてたら

   この量になった」


   気恥ずかしそうに頭をかきながら

   篝は答えると続ける。


   「去年、お前に貰ったクリスマス

   プレゼント。本当に嬉しかったから。

   だから、その気持ちを表そうとしたら

   どんどん止まらなくなってよ」

   「この子ったらスゴかったのよ!

   普段は興味ないのに貰ったお菓子が

   美味しかったらどこのか聞いてきたり、 

   筆記具もどれがいいのかカタログと

   にらめっこしたりして……」

   「おふくろ!!」


   ふふふと微笑ましそうな真姫に

   篝は顔を赤くしながら声を荒げた。

   そんな篝に祖父は尋ねる。

   

   「その……こんなに大量だと出費が

   大変だったんじゃないかい?」

   「そこは大丈夫です」

   「出費の面も大丈夫なの! 家のお手伝いや

   テストで満点とったらお小遣いを貰う

   って決めたりして頑張ってたから!

   一生懸命頑張る姿を見れて私は

   嬉しかったわ!」


   心配する祖父に篝は断言し、

   真姫は誇らしげに語る。


   「うちの人ってば、この子が急にお手伝い

   とか満点とったらお小遣いほしいって言わ

   れて嬉しそうにしてたの! 人に関心をもた

   ないこの子が人の為に頑張ってるって

   知って……」

   「おふくろっ!!」

   「むぐっ?!」


   嬉しそうな真姫に篝はさらに顔を赤く

   してまた話し出しそうな真姫の口を

   手で塞いだ。


   「もういいから!! 話すな!!」

   「成る程。そうやって貯めた結果、

   こんなに買えるほどになったのか」

   「篝、満点いっぱいとってたもんね」

    

   努力した結果なのかと祖父は頷き、

   思い出した郁人は納得する。


   「満点とらないとって張り切ってた

   理由はプレゼントの為だったんだ」

   「………お前に渡すものだ。自分で

   努力して得た金で買ったものを

   渡したかったからな」


   頭をかきながら篝は告げたあと、

   郁人の背後にあるプレゼントの山を

   見る。


   「俺もこの量はちょっと多いんじゃ

   ないかと思ったが、お前に貰ったときの

   嬉しさに比べたら足りないなと思った

   んだ」

   「俺的には充分すぎるくらいかな?

   多すぎるよ」

   「……でも、俺の嬉しさは」 

   「篝、あのね。その気持ちは嬉しいよ。

   そこまで喜んでもらえてさ。

   でもね、この量はさすがに多いし、

   だから」


   足りないと目でも訴える篝に

   郁人は立ち上がると、篝の隣に座る。


   「言葉や態度で示して貰えたら俺はもっと

   嬉しいかな。こうやってさ」


   そして、郁人は篝を抱きしめた。


   「っ?!」


   篝は突然のことに固まるが、

   郁人は気にせず続ける。


   「俺の家族はね、嬉しいときは言葉で

   伝えたり、こうやって抱きしめたり、

   頭を撫でて態度でもよく表すんだ。

   もし、篝が嫌じゃなかったらこうやって

   伝えてほしいかな?」

   「………………わかった」


   篝は郁人の背中にゆっくり腕を

   回して抱きしめる。


   「次からはこうする。プレゼントは

   渡すけど多すぎないようにする」

   「ありがとう、篝。いつもこれだけ

   貰っちゃったら申し訳ないし、俺の家

   に入りきらなくなっちゃうから」

   

   プレゼントで家の床が抜けちゃうかも

   と笑う郁人に頭を擦り寄せながら

   篝は告げる。


   「……俺の気持ちはまだ表現しきれて

   ないからしばらくこのままでいいか?」

   「もちろん。いいよ」


   了承を得た篝はしばらく郁人から

   離れなかった。


   「あらあら、この子ったらこんなに

   甘えたになるなんて! ここまで

   変わるなんて思わなかったわ!」

   「前までは違うかったのかな?」

   「えぇ! この子ったら、いっつも

   顔をキュッとしかめて……」


   真姫と祖父はそんな郁人達を見守り

   ながら会話を弾ませた。


   「あーー!! お兄ちゃんを盗るな!!

   このくっつき虫!!」

   「仲良しさんね〜」


   眉を吊り上げた妹や微笑ましげに

   見る祖母も加えて、郁人の家の

   クリスマスがいつもより盛り上がった

   のは言うまでもない。

   

  

   

ここまで読んでいただき

ありがとうございました!

面白い、続きが気になると

思っていただけましたら

ブックマーク、評価(ポイント)

よろしくお願いします!


ーーーーーーーー


クリスマスパーティが終わり、篝の家にて

焔と真姫は楽しげに話す。


「篝ったら、クリスマスが本当に

楽しくて帰りの車で寝ちゃったの!

彼から貰ったプレゼントを大事に握り

しめながら!」

「それであんなに嬉しそうな寝顔だった

のか。篝はなにを貰ったんだい?」

「レジンのストラップよ! 双子ちゃんの

妹ちゃんがレジンに最近ハマってる

みたいで、それで作ったそうなの!

見せてもらったけど、レジンに桃の花や

篝の頭文字のKが描かれていたわ!」

「それは喜んだだろうね。自分の為に

作ってもらったなら尚更だ」


貰ったときの喜ぶ顔が簡単に想像できる

と焔は嬉しそうに口角をあげた。


「次のクリスマスはこちらに招待しちゃ

ダメかしら? お仕事とか関係なく、ただ

一緒にクリスマスをあの家族とお祝い

したいわ!」

「それは……難しいだろうね。篝は

独占欲が強いから。パーティの招待客に

郁人くんが見られる可能性があるって

嫌がるよ。俺も別室で開催するから

彼らを招待しようか? って尋ねたら

そう言って断られちゃったからね」

「もう……あの子ったら貴方に似たわね」

「全くだよ!」


ため息を吐く真姫にあははと焔は笑った。




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― 新着の感想 ―
めちゃくちゃお久しぶりです!!!! 妹ちゃんの叫び、大量のプレゼント、そしてクリスマス…篝はいつも大胆だね。これが異世界ならプレゼントの送り主の選択肢は幅広いんだけど、地球だとね…篝ブロッカーがね……
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