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小話 準備をしよう




   夜の国にて、鼻歌を歌う者が1人。


   「いやあ〜これで終わりっと!

   まったくクソお疲れ様でした!」


   ー "レイヴン"だ。


   自身の仕事部屋にて、レイヴンは

   サインをして仕事を終えた。

   腕を伸ばして、ストレッチする。


   「はぁ〜……ったく、独立してから

   面倒なモノがちょこちょこ来て鬱陶し

   いにもほどがあるってもんだ。

   石の裏にいる虫かってくらいに湧いて

   きやがってよお。裏を調べてこっそり

   話し合いすんのも面倒なんだぜ」


   面倒事を増やしやがってとレイヴンは

   ぼやく。


   「まあ、力付くで終わるもんは色香大兄の

   番犬くんに任せれるからそっちは楽だった

   が。……いっそ、面倒な奴らを1箇所に

   集めて色香大兄に会わせれば全員骨抜きに

   なるから楽だったんじゃね?」

   「そいつらの対応を俺が嫌うことを

   知っての上での発言がレイヴン?」


   そんな面倒な奴らの情報をまとめた

   書類の束を見つめるレイヴンの後ろに

   いたのは眉をひそめたフェイルートだ。


   「げっ?! 色香大兄!!」  

   「俺が前に出ればますます面倒なのは

   お前が知っているだろ」

   「知ってますよお。骨抜きになったら

   色香大兄に群がって仕事どころじゃなく

   なるのは。ただ、それで向こうが襲い

   かかれば正当防衛で処分出来るのも

   魅力的だと思いますよ?」


   ごみ掃除が出来て楽ですよ? と

   レイヴンが告げればフェイルートは

   さらに眉をひそめながら吐き捨てる。


   「彼女(ドライアド)達に下品な光景を見せたくはない。

   あんな野蛮で低俗なモノ、見るだけで

   虫唾が走る」

   「まあたしかに、あれは目もあてられない、

   俺様も御免こうむる光景ですわ。

   だから、口だけっすよ。行動には移さない

   んで。で、色香大兄はどんな用があって

   こちらへ?」

   

   不思議そうなレイヴンにフェイルートは

   告げる。


   「彼らとの会談が終わったからな。

   それで得た情報を伝えにきたんだ。

   ほら、紙にまとめてあるからあとで

   読むといい」


   フェイルートは書類をレイヴンへ渡す。


   「書類の内容をデータにまとめて

   送ってもある。そちらも確認しておけ」

   「おっ! 会談お疲れ様でございます!

   書類とデータも助かるんで感謝感激!」

   

   レイヴンは受け取り、書類を軽く読む。


   「いやぁ〜、色香大兄の書類は見やすいし

   きちんとされてるから確認しやすくて

   大助かりなんすよねえ〜。それにしても、

   まさかの反則くんからの紹介とは驚いた

   もんよ」

   「俺も驚いた。あのハイエルフとも交流

   してるのにも驚いたが、あいつから今後

   縁を持ってたほうがいいと言われ、あの者

   達を紹介されるとは思いもしなかった」


   レイヴンの言葉にフェイルートも同意

   したあと続ける。


   「だが、確実に言えることは我が君の

   為になることだから紹介したのだろう。

   あいつの行動原理は我が君だからな」

   「反則くんってば行動基準とかもろもろ

   ぬし様だからなあ。前よりわかりやすく

   なったのはありがたいもんだ」


   前の反則くんなんて予測立てるのが

   面倒だったからよとレイヴンは笑う。


   「で、どうでした? 相手方は?」

   「我が君に対して友好的、好感を

   持っているのは確実だな。我が君に

   害をなすことはまずないだろう。

   チイトからの紹介だからな。そこまで

   気にしてはいなかったが対面して

   確信した」

   

   我が君に対して敵対心もないな

   とフェイルートは告げる。


   「そして、我が君を狙う輩に対して

   敵意を抱いているのも確かだ。

   向こうはその輩を潰したいゆえ、協力

   関係を築きたいとのことだ。

   こちらにその輩の情報提供を求め、  

   見返りは……」


   フェイルートは見返りが書かれた書面を

   見せる。それを見たレイヴンはニヤリと

   笑う。


   「ほほう! その見返りの1つは独立した

   この国にとってはありがたい!

   これで介入したがる国もかなり減る

   ことは間違いねえってもんだ!」


   俺様の仕事が減るぜ! とレイヴンは

   はしゃぎながら続ける。


   「それにぬし様に関することも悪くねえ

   見返りだ! 俺様もその見返りのためなら

   面倒なことしてやってもいい!」

   「お前の反応を見次第で招待状を

   書くか決めていたが書くとしよう。

   なんなら、あいつらも集めて協力させ

   ようか」

   「賛成だぜ色香大兄! 表向きは別の事で

   招待しねえとな! 勘付かれても困るしよ!

   どんな内容で招待します?」


   尋ねるレイヴンにフェイルートは

   案はあると話す。


   「では、ちょうど女将が話していた

   あれをするとしよう。独立したこの国に

   ピッタリなものだ」

   「あぁ! あれっすね! まあ、もともとやる

   計画はあったし問題は無いっすわ!

   じゃあ、もちろんぬし様も……」

   「もちろん招待する。慶事にはぜひ

   参加してもらわなくてはな」

   「よっしゃあ!!」


   艶やかに微笑むフェイルートに

   レイヴンはガッツポーズを決める。


   「じゃあ俺様は超特急で準備に

   かかりますんで! もともと下準備はして

   たんでそこまでかからねえけど!

   楽しみになってきたな、こりゃ!!」

   「女将はもちろん、他の子達にも開催の

   ため声をかけておこう。我が君には彼女

   から渡してもらおうか」


   スキルでスクリーンを投写し、

   ノリノリで仕事をしていくレイヴン。

   隣ではフェイルートが蝶にあるもの

   を渡して煙管を吹かす。


   「あいつらには俺から声をかけて

   おこう。あの2人はまだこちらへは

   来ないだろうが夢なら話せるだろう」

   「あの2人、いろいろこだわりがあるから

   なあ……。夢でなら問題ないと思います

   ぜ?」


   変なこだわりがあるからなあと

   レイヴンはため息を吐いた。


   「さて、表向きは交易のためだ。

   国への対応はお前に頼むぞ、レイヴン」

   「わかってますよ、色香大兄。   

   招待する国のラインナップはお任せを。

   あいつらが来てもおかしくないよう、

   あの輩に勘付かれないようにしますんで」


   フェイルートの言葉にレイヴンは

   任せろと自身の胸を叩いた。

 


     

ここまで読んでいただき

ありがとうございました!

面白い、続きが気になると

思っていただけましたら

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