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281話 久しぶりのギルド




   郁人達はジャルダンに寄っている。

   フェランドラ達にお土産を渡すためだ。

   ついでに、ジークスと篝に言われて

   情報の更新に来ている。


   「久しぶり、フェランドラ!」

   「よっ! 久しぶりだな、もやし!

   プリグムジカに行っていたって

   女将から聞いてるぜ!」

   「うん、行ってたんだ。

   で、これがそのお土産」


   郁人はフェランドラにお土産を渡す。


   「ホーンザメの角だよ。武器を作るのに

   オススメの素材でもあるってチイトが

   教えてくれてさ。こっちはミアザさんの  

   お土産」

   「いつもありがとな、もやし! 親父にも

   渡しとくぜ! ホーンザメの角は武器の

   素材に良いんだよな! 加工すればナイフ

   にもなるし、砕いて混ぜれば強度が

   上がるんだよ!」


   いつも律儀なものだなとフェランドラは

   嬉しそうに受け取った。


   〔あんたお土産買う時間あったっけって

   思ったけど、迷宮でいろいろゲットしてた

   わね〕

   (うん。迷宮の子達にもらったけど、量が

   多かったからな。それならお土産にしても

   いいかな? って。チイト達と分けても余る

   くらいだったから……)


   使ってくれる人にお土産として

   渡そうと思ったと郁人は告げた。


   「こんな綺麗にホーンザメの角を 

   取るなんてスゲえな! あいつら水中に

   いるから攻撃しにくいんだよなあ……。

   どうやって倒したんだ?」

   「ポンドが銃で撃ったあとスパッと

   斬った」

   「……こいつ銃まで使えるのか?」

   「彼は剣以外も使えるんだ。俺との

   手合わせでは彼はいろんな武器を使う為

   参考になっている」

   「ジークス殿の大剣を使わせてもらった

   こともありますが、あれは大変でしたな!」

   「ジークスの大剣を持てるの?!」

   〔この黒鎧……本当に何者なのよ?!〕


   郁人は目を見開き、ライコは思わず

   声をあげた。   


   「………もう、お前らに関しては驚くこと

   にきりがねえな。で、お前らはプリグムジカ

   の迷宮に行ったって聞いてるぜ。あそこの

   迷宮の情報は綺麗な場所だったとしか

   言わねえ奴らばかりだからよ! 細かく

   教えてくれや!」


   頭をかいたあとフェランドラは

   気持ちを切り替えて万能クリスタルくん

   を取り出す。


   「お前らのことだからいろいろ

   狩ったんだろ? 報告はこまめにして

   くれたほうがお前らの実績をまとめる

   ときに楽になるからちゃっちゃと

   教えてくれよな!」

   「やっぱり小まめにしたほうがいいん

   だな。ジークスや篝が言ってたけど」

   「そりゃ小まめにしてくれたほうが

   いいぜ! ギルド(こっち)はお前らの実力を

   判断して緊急依頼が発生したときに

   実力に応じたものを振り分けたいからよ」


   不相応な奴らに任せられねえからな

   とフェランドラは告げた。


   「こっちはその旨を最初に耳にタコが

   出来るぐらいに説明してるからな」

   「俺、最初に聞いてないけど……?」

   〔説明されなかったわよね?〕


   言われた記憶がない郁人は首をかしげ、

   ライコもないと告げた。

   フェランドラはその理由を話す。


   「もやしの場合は最初からジークス

   がいたから言わなかったんだよ。

   そいつが絶対に言うだろうと思った

   からな。チイトは言っても絶対に

   聞かねえだろうから言わなかったが」

   「俺が聞くのはパパの言葉だけだ」

   「な?」


   断言するチイトにやっぱりと

   フェランドラは告げたあと、続ける。


   「でも、その様子じゃ最近聞いた

   みたいだな」

   「彼はギルドへ足を運ぶ頻度は多いからな。

   それに君と会う回数も他の者に比べたら

   多いから伝えなくてもそこまで問題ないと

   判断したんだ」

   「こいつの場合は土産を渡すためだがな」


   ジークスは理由を告げ、篝は頭をかく。


   「ギルドの受付嬢と仲が良いとは言え

   土産を渡すなんざ賄賂を疑われる可能性

   だってあるのによ」   

   「そこは大丈夫だって。この子が

   そんな相手を弾き飛ばすみたいだから」


   郁人は大丈夫だと受付に飾ってある

   花を見ながら告げた。

   篝は植木をじっと見たあと納得する。


   「これは植木じゃ……なるほど。これは

   従魔か。よく見ないと魔力を感知出来ねえ

   ようにしてんのか」

   「オレのお袋のな。こいつは働き者でな。

   よく弾き飛ばしてくれんだよ! 最近は

   ギルド加入者が増えたからさらに働い

   てるぜ」

   「増えたのですかな?」

   「あぁ。最近エルフの国が1つ潰れた

   んだろ? 妖精と鬼王から逃げて良しと

   判断された奴らがここにも来てんだよ」


   マルトマルシェやティアマットにも

   行ってるそうだぜとフェランドラは

   説明した。その説明に篝は尋ねる。 

 

   「逃げて良しか。なら、そいつらは

   関係者じゃ無かったってことか」

   「あぁ。聞いたところによると、王族と

   それに付き従ってた奴らが妖精と鬼王に

   喧嘩を売るようなことをしてただけで

   他の奴らは知らなかったみたいだぜ」


   知ったときは心臓が止まりかけた

   そうだとフェランドラは続ける。     


   「で、知った奴がこのままじゃ関係ない

   自分達も巻き込まれて死ぬって鬼王と

   妖精に情報を渡して命乞いしたそうだ」

   「そうだったんだ!」

   〔結構詳しいわね。関係者に聞いたの

   かしら?〕


   フェランドラの説明に郁人は目を

   ぱちくりさせ、ライコは気になった

   ところがあったようだ。


   (たしかに。ジャルダンに加入した人の

   中にいたのかもな。それにしても……)


   郁人は周囲を見渡すと、エルフ達が

   目に入る。エルフ達は郁人と目が合うと

   ピシリと固まり、慌てて目をそらす。

   

   (前までエルフ族の人を見かけなかった

   から新鮮な気分だな。でも、なぜか

   怖がられてるんだよな……)

   <ママどうしたの? >

  

   何かしたかな? と心当たりのない

   郁人に胸ポケットに潜んでいたデルフィ

   が心配して声を掛けた。


   (いや、なぜか怖がられてる気がして……)

   <それはあいつらの自業自得だから

   ママのせいじゃないよ!>


   ママは悪くないもん! とデルフィが告げ

   肩にいたユーが気にするなと頬ずりする。


   (それってどういう……)

   「んじゃ、手を当ててくれや。

   ちなみに、これは最新版でよ。

   情報の更新とともに、手を当てた奴に

   変化があれば教えてくれるんだよ。

   ほれ、手を当てろよ」


   フェランドラは郁人の手を掴み、

   万能クリスタルくんの上に置いた。

   すると、受付に置いてあったタブレット

   に通知が届く。


   「きたきた! これになってから楽に

   なったんだよな! 設定したタブレットに

   情報が送られるからファイリングしなくて

   すむようになって本当に助か……」

  

   鼻歌混じりのフェランドラだったが

   タブレットを見て固まる。


   「? どうかしたのか? おーい?」

   「見事に固まってるな」

   「なにかあったのか?」

   「どうされたのでしょうな?」


   不思議そうに郁人はフェランドラに

   声を掛けたが反応はない。

   篝とジークス、ポンドもはてなマークを

   浮かべる。

   

   「………………」


   しばらく固まっていたフェランドラ

   だったが、タブレットを机に置き、

   引き出しを開けて、ボタンを押すと

   受付の周囲、郁人達がいる場所が

   透明な膜で覆われた。


   「えっ? これなに?!」

   「いきなり覆われましたな……」

   「これ防音の結界だよ。一定のエリア内

   の音が外に漏れないようにするんだ。

   あいつが売ってたよ」


   チイトは空間からレイヴンが手がけた

   カタログを取り出して見せる。


   「あっ、本当だ! 売ってる!」

   〔あいつ、こんなものまで作って

   販売してるのね……?!〕


   郁人は目を見開き、ライコが声をあげる

   なか、フェランドラは叫ぶ。


   「もやし!! お前なんで加護持ちになって

   んだよ!!」

 

   そう叫ぶフェランドラの顔は真っ青だった。 

        

   


ここまで読んでいただき

ありがとうございました!

面白いと思っていただけましたら

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よろしくお願いします!


ーーーーーーーー


ジャルダンへ加入した者達はギルドに

所属する冒険者から言われることに1つ

疑問があった。


ー 災厄と孤高、影なき傭兵のいるパーティ

のメンバー、不思議な従魔を連れた少年に

触れるべからず


(あれはどういう意味なんだ?

見てみてもそこまで強くなさそうだし)


エルフの1人は受付で話す忠告された

パーティのメンバーを見る。


(災厄に孤高、影なき傭兵とか……

強すぎにもほどがあるだろ!

あの鎧の奴も確実に強いのは見ただけで

わかるが……あの少年は絶対弱い)


覇気のなさに本当に冒険者なのか

疑いたくなるほどに弱々しい。


(災厄に触れるなならわかるが、

あの少年はどう見ても無害だろ。

どこが……あっ、あいつ!)


見ていたエルフは同族が少年に魔術を

施そうとしたのを見た。

本当に冒険者なのか確かめようと

しているのだ。


(ギルド内にて、魔術の無断行使は

禁止されているのに!)


問題行動を起こすな! と動こうとした。



「……………………?!!?!?!」


動けなかった。

喉元にナイフを突きつけられたような

殺気を感じたからだ。


「ーーー!!!!」


それを直に浴びた魔術を行使しよう

とした者は泡をふいて倒れている。


<触れるなと言われなかったか?>


脳に直接言葉が流し込まれる。

見れば災厄が冷たい目でこちらを

見ていた。

見られているだけなのに呼吸が

浅くなる。体が恐怖で震える。


<もし、そこの塵のようなことを

してみろ。次は無いぞ。

その胸に刻んでおくんだな>


災厄は受付に視線を戻した。


(……これが、災厄!!!)


エルフはあまりの実力差を感じ取り

顔を青ざめる。


(また同族がこのようなことをすれば

主犯だけじゃなく俺達まで殺される!!)


あの殺気を浴びせたのは警告だと

わかった。

またこのようなことがあれば

命がないことは確実。


(同族に確実に伝えなければ!!

でなければ俺達は死ぬ!!)


エルフは心に固く誓うと同時に

恐れてしまう。


(あの少年……いったい何者なんだ?!

災厄があのようにおとなしくしている

し、本当に何者なんだ……?!)


エルフは思わず少年、郁人を見た。



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