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2人を見守る影が2つ


 


   ぬいぐるみ作りを終え、狐福を出た

   2人は以前、親子限定メニューを

   食べた店にてお茶している。


   「デル、どれ食べたい?」

   「そうですね……。では、この

   ガトーショコラをいただきたいです。

   どのような味か気になりますから」

   「じゃあ、私はヨーグルトムースの

   タルトにするわ。美味しそうだもの!

   あの、すいません」


   メニューを見ていた2人は店員を

   呼んで注文している。


   そんな2人を見つめる者が2人。


   「お2人共楽しんでいるようでよかった

   ですな」

   「途中、あいつが来た時はどうなるか

   と思ったがな……」 

   「まあ、終わり良ければ全て良しと

   しましょう。……ふむ、初めて来店

   しましたがここの珈琲はとても美味

   ですな。苦みもほどよく、また飲み

   たくなる味わいです」

   「あぁ。香りもとても良い。

   飲んでいると落ち着く」



   ー ポンドと篝だ。



   ポンドはチイトに郁人を守るように

   指示され、篝はそれについてきたのだ。

   郁人達に気づかれないようにしながら

   2人は見守っている。


   「チイト殿、嫌な予感がするから

   私が代わりに見守るようにと指示され

   ましたが……予感は的中しましたな」

   「最早、予感じゃなくて予知だろ」


   ベロペロネのことを思い出しながら

   ポンドは告げ、篝は頷く。


   「チイト殿なら出来そうですな」

   「本当にな。それでチイトはソータウンから

   距離のある研究所に避難してるしな。

   それにしても……孤高はなんで居残り 

   なんだ? しかも、あの謎の生物の見張り

   付きで」

   「ジークス殿はマスターのあの姿に

   弱いですからな。慣れたほうが良いと

   慣れるように特訓中だそうです。

   きちんと慣れたかどうかはユー殿が

   されるようですな」

   「あの謎の生物、本当に謎だな。

   孤高を押さえれるなんて滅多にいないぞ」

   「ユー殿ぐらいでしょうな。無傷で

   押さえ込めるのは。ところで、カガリ殿

   もそのような傾向がありましたが……

   どのように耐えられたのですかな?」

    

   ポンドが尋ねると、篝はあっさり答える。


   「確かにあの姿のあいつは綺麗だぞ。

   だからこそ、悪い虫がつくだろ?

   俺の知らないところであいつに悪い虫

   がたかるのは嫌だからな……!!!」

   「その思いを力に変えて耐えておられる

   と……じつにカガリ殿らしいですな」

 

   目を据わらせながら今にも持っている

   カップにヒビを入れそうな篝に

   ポンドは苦笑した。  


   「あと、じつはお聞きしたいことが

   ありましてな」

   「俺にか?」   

   

   意外そうに両眉をあげる篝にポンドは

   質問する。


   「別に難しいことなどではありません。

   ただ、マスターは交際歴が0で、自分は

   モテないと謎の自信があるのが気に

   なりましてな」


   ポンドは尋ねた理由を話す。


   「マスターは見目もお綺麗ですし、

   性格も言わずもがな。心が広く、

   まさに善人といった方でしょう?

   そのうえ、気配りもできて、料理と

   いった家事も得意。そのような方が

   今まで放っておかれたのが気になり

   ましてな。以前、チイト殿に尋ねたら

   カガリ殿に聞いたほうが早いと」


   ポンドは日頃から疑問に思っていたのだ。

   郁人が自分はモテないと言い、恋人が

   今までいなかったことを。


   「このように2人でいる機会はなかなか

   無いのでお尋ねしようかと」

   「成る程な。たしかに俺が1番理由を

   知っているな。なんせ俺が1番付き合いが

   長いからな。なんたってあいつがこれ    

   ぐらいの頃からの付き合いだ」


   篝は手で郁人と会った時の背丈を

   表現しながら自慢げに告げる。


   「あいつはもともと鈍感なんだが、

   美人な妹目当てで声を掛ける奴が多かった

   のが鈍感さに拍車をかけたな。

   だから自分目当てとは思わない」


   俺は最初からあいつ目当てだったが

   と篝は告げる。 


   「そこに俺目当ての奴が加わったから

   ますます鈍くなった。だから、あいつに

   言い寄ってるのに気づかれなかった奴は

   多いぞ」

   「では、マスターは……」

   「男女問わず結構人気だったぞ。

   とくに年下にな」

   「年下にですかな?」


   ポンドが尋ねると篝は頷いたあと、

   再び口を開く。


   「あいつ結構世話焼きだろ?

   あと、あいつは無意識だろうが年下に

   甘い。だから、年下が多かったな」

   「もしや、チイト殿がマスターの前では

   子供のように振る舞われているのは……」

   「あいつが甘やかすとわかっている

   からだろうな」


   あいつの甘さを理解してだろうと

   篝は続ける。   


   「それとあいつはどんな噂を聞いても

   最後は自分の目で判断する。だから厄介

   な奴に好かれることも多かった。

   年1で厄介なのに好かれてたな」


   中学に入ってからはそうだったと

   篝は思い出す。


   「見た目のせいで不良呼ばわりされ

   浮いてた奴から、綺麗な見た目のせいで

   人嫌いになった奴とかいたな。

   そんな奴らは郁人の性格に惚れ込んで

   ガンガン関わってきていたぞ」

   「マスターは前から個性的な方々に

   好かれていたのですな」


   今の状況を思い浮かべながら

   ポンドは呟いた。


   「だからあいつを守るのは大変だったぞ。

   あいつの妹と一時休戦して共に守ったり

   したくらいだ」


   あれは大変だったと篝は腕を組みながら

   頷いた。


   「カガリ殿、マスターの妹君とも

   争っていたのですかな?」

   「まあな。あのブラコンとはよく

   戦ったもんだ。あいつはよく妹のこと

   考えていたんだから少しくらいいい

   だろうが!」


   思い出したのか眉間にシワを寄せる篝。

   そんな篝にポンドはなだめる。


   「落ち着いてください、カガリ殿。

   ようするに、カガリ殿や妹君がマスター

   へ寄せられる好意を全て阻んだために

   マスターはモテていた自覚が無かったの

   ですな」

   「阻んだじゃない。守ったんだ!

   危なかったんだぞ! あいつを手に入れよう

   と密室で2人きりになろうとしたり、

   自宅への不法侵入未遂、布団に

   忍び込もうとしたりとそれらを防ぐのは

   本当に大変だったからな!!」

   「……………カガリ殿も人の事を言えない

   のでは?」

   「俺は親友だから良いんだ」


   問題ないと胸を張る篝にポンドは  

   いろいろ言いたかったが言葉を飲み込み、

   再び尋ねる。


   「……………………そうですか。

   ちなみに、マスターはカガリ殿が初めて

   部屋に入っていたり、布団にいたり

   したときの反応は?」

   「最初は驚いていたが、親友なら

   問題ないと言えばそうなのか? と

   納得していたぞ。最終的には俺だからな

   と受け入れた」

   「マスター……!!」


   郁人の押しの弱さにポンドは頭を

   抱えてしまう。

   

   「許可を得た俺は不法侵入を防ぎ、

   守ることに成功した。あいつが私物を

   盗まれたときはきちんと取り返したぞ。

   まあ、盗まれた物を使うのは嫌だろう

   と思って新品を渡したが」

   「私物を盗まれていたのですかな?!

   それは……なんと酷い。マスターも心を

   傷まれたでしょう」


   郁人の心痛を思い、眉を下げるポンドに

   篝は頷く。


   「あぁ。あいつはいじめられているの

   だと悲しんでいたが、真相は変態が

   あいつの下着などを自分の物にしようと

   しただけだからな。変態の仕業だと

   言えば悪夢を見ることになるだろうから

   そこは言わなかった」

   「たしかに言わないほうがよいですな」

    

   顔を青ざめる郁人を思い浮かべながら

   ポンドは頷いた。  


   「盗撮もされていたがカメラは壊し、

   犯人は警察に突き出した。まあ、写真は

   よく撮れていたな。何度も見たが、

   俺でも見惚れるほどだった」   

   「カガリ殿、ちゃっかり写真を着服して

   ません?」     

   「データは警察に渡しているから

   問題ない」


   胡乱(うろん)な目で見るポンドを

   篝は気にせず珈琲を飲む。


   (……ようするに、マスターが今まで

   恋人がいなかったのも、あそこまで

   鈍いのもカガリ殿が気づく前に全て

   遮断していたからなんですな)


   ポンドは聞いた話を脳内でまとめて

   結論を出した。


   (マスターの妹君もそれに協力して

   いたために、ますます恋愛とは

   縁がなくなっていたようですし……。

   マスターの周囲に個性的な方々が

   惹き寄せられていたのも原因かも

   しれませんな。ストーカー行為に

   発展した方々もいらっしゃるようですし)


   ポンドも珈琲を飲み、一息つく。


   (その中でカガリ殿はずっとマスターの   

   そばで妨害し続けた。カガリ殿はその

   個性的な方々を退け続けマスターの

   そばに居続けた。つまり……)


   「カガリ殿はそんな個性的な方々、

   蠱毒の中で勝ち続けた、マスターへの

   執着が凄まじく、そしてとんでもない方

   なのですな!」

   「なんだいきなり? コドク?

   俺は1人じゃない。郁人がいるだろ……

   ん? 待て、コドクって呪いのほうの蠱毒

   のことか?! 虫や爬虫類やらを狭い場所で

   最後の1匹になるまで殺し合わせ、食い

   合わせると強力な毒になるやつだよな!!

   おい!」


   どう考えてそんな言葉を発した

   と訴える篝をよそに、ポンドは

   のんびり珈琲を飲むと笑顔で宣言する。


   「もし、マスターが気になっている方

   がいらしたら私はサポートしますので。

   邪魔されるならそれなりの覚悟をなさっ

   てください」

   「…………厄介な奴がついたもんだな」


   篝はため息を吐いた。



   ー 後日……


   「マスター。貴方様の何事も受け入れる

   度量はとても素晴らしいと思います。

   ですが、受け入れすぎてはバケモノを

   産み出してしまうのでほどほどに」

   「えっと、バケモノってなに?」

   〔……とりあえず、あんたは頷いとき

   なさい〕


   ポンドが忠告したのは言うまでもない。

    


   ちなに、篝の言う厄介な年下に郁人が

   好かれることになるのを2人はまだ

   知らない……。 

      

     

   

         

   

   

ここまで読んでいただき

ありがとうございました!

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よろしくお願いします!


ーーーーーーーー


避難しているチイトはシトロンが作成する

魔道具を見る。


「あと少しで完成か」

「あぁ。幾度か実験を行い、問題ないと

判断すれば相手に発表する予定だ」


シトロンは答えるが作業する手を止めること

はない。


「実験か……俺も混ぜろ。完成するか興味が

ある」

「いいだろう。その代わり協力しろよ」

「わかってる」


会話する2人に近づくのはお茶を用意する

イクタンだ。


<粗茶ですが、どうぞ〜>

<お菓子も用意しましたあ>


ちいさな体で慎重に運ぶイクタンは

魔法でふやふよ飛ぶとテーブルの上に

お茶とお菓子を置く。


「こいつら……飛べるのか?」

「あぁ。いつの間にか覚えたようだ。

こいつら研究所から出なければ好きにして

いいと言ったんだが」

「だが?」

「イクタン達は我先にと我が友の世話を

しようと掃除洗濯料理といったことを

するのデス」


イクタン達に続いてオキザリスがやって

来た。イクタン達を見ながら続ける。


「このコ達が飛べるのも我が友が

ご飯を食べないから、無理やりにでも

食べさせようと口に運ぶために飛ぶこと

を覚えたのですヨ」

「……本当に世話されているんだな」

「……………………」


チイトの言葉にシトロンは答えない。

チイトは無言は肯定と見なした。


<ハカセー食べてー>

<お茶おいしく淹れた自信アリ!>

<お菓子も自信作!>

「もうこいつらがいないと大変なんじゃない

か?」

「ハイ! もう研究所には欠かせない存在に

なっていマス!」


チイトの呟きにオキザリスは笑った。




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