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小話 ドラゴンと龍について


あけましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いいたします!!




   郁人は自室にて、ある本を読んでいて

   気になることがあった。


   「どう違うんだ?」

   「どうしたのパパ?」


   そこへチイトが声をかけた。

   チイトも郁人の部屋で本を読んでいたのだ。


   「あの情緒不安定の眷属から借りた

   やつに気になるのでもあったの?」 

   「うん。"上位の魔物図鑑"に載って

   たんだけど……」


   郁人は図を指差す。


   「幻獣の欄に載ってたんだけど……

   これもドラゴンだよな?」

   〔あ〜たしかにこんがらがるわよね……〕


   見ていたライコも思わず呟いた。

   

   指差す図には蛇のように長い胴体に

   長い髭を持つ"龍"が描かれていた。


   「なんで幻獣の欄に?

   あと幻獣って……??」 

  

   頭上にはてなマークを飛ばす郁人に

   チイトは口を開く。


   「まず幻獣について話そっか。  

   幻獣は魔物の中でも珍しい魔物のことを

   指し示しているんだよ。

   パパにわかりやすく言うなら……

   天然記念物みたいな?」

   「なるほど……天然記念物か。

   じゃあ、保護されてたりするのか?」

   「うん! 国をあげて保護されてるの

   もいるよ!

   あと、危害を加えたら災害級の事が

   起きる場合や、妖精に保護されてるのも

   幻獣って言ったりする場合もあるかな?」

   「妖精が保護したら認定されるのか?」


   首をかしげる郁人にライコは答える。


   〔妖精の庇護下にあるものに対して

   無闇に手を出さないようにするための

   対策よ。

   妖精の怒りを買うことを避けるためね〕

   「そうだ。周知の事実にすれば

   恨みを買うリスクを減らせるからだ」


   ライコの言葉をチイトは続ける。


   「それに、知らないうちに庇護下に

   あるものを傷つけて死にたくない

   だろうからな」

   「改めて思うけど……妖精って本当に

   恐れられているんだな」


   郁人は妖精と言われたら、デルフィや

   妖精に近いと言われるドライアドの

   ナデシコや夜の国の女将を思い浮かべるので

   怖さを感じないのだ。


   「パパは妖精に好かれやすいから

   怖がることはないよ。

   ……あのエセ獣耳の祝福を持ってるから

   尚更だけど」

   「? どうかしたのか?」

   「ううん! なんでもない!

   それより、龍が幻獣に入ってる理由だよね!

   ドラゴンとの違いも話そっか!」

   

   幻獣についてはわかったと思うから

   とチイトは続ける。


   「まずこの世界のドラゴンは

   ドラケネスでも見たと思うけど、

   見た目で分かる通りの鋭い牙と爪、

   そして空を飛べる翼があるのが特徴だね。

   灼熱の息"ドラゴンブレス"で攻撃

   してくるのもわかりやすいかな」

   

   知性があって人の姿を取れないよ

   と説明する。


   「で、幻獣に分類されている龍は

   見た目はパパにわかりやすく言うなら、

   干支の辰を思い浮かべたらいいかな?

   あんな感じで蛇みたいに長い胴体を持ち、

   翼は無いけど自分の魔力で空を飛べるよ」

   「干支の絵馬に描かれている感じか?」

   「うん! そうだよ!」

   

   合ってるよパパ! とチイトは無邪気に笑い

   指で四角を描いてスクリーンを出すと、

   龍のイラストを見せる。   


   「それに、龍には首に生えている龍玉

   っていう魔力を生み出すものがあるんだ。

   あと、魔力が多いやつほど指の本数が

   多いよ。通常個体は指が3本なんだけど、

   魔力が多いものだと最高で5本の指が

   あるんだ」

   「そうなんだ!」

   〔こいつ……本当に詳しいわよね……。

   しかも、あんたにわかりやすいように

   言葉も噛み砕いたうえで、図まで見せて

   説明してくれてるし〕    


   本当にわかりやすいわ

   とライコは呟いた。


   「そして、幻獣に分類されているのは

   龍で強いものだと天候をも操れる

   くらいの実力を持って、災害級のことを

   引き起こせるからだよ。   

   昔に龍玉を奪おうとした国が

   一晩で壊滅したのも原因かな」


   豪雨と雷でそれはもう凄まじかった

   そうだよとチイトは告げた。


   「それは……本当にすごいな」

   〔本当に恐ろしいわよね……〕

   

   郁人は顔を青くし、ライコは声を

   震わせた。  


   「あいつらの怒りに触れなかったら

   そこまで怖がることはないよ。

   今の龍は国を持って、人型になって 

   生活してるし」

   「そうなの?!」

   「うん。昔、龍が竜人族と関わっていく

   うちに生活に興味を持ったそうだよ。

   そこから人型になって、社会に溶け

   込んでるんだ」

   「じゃあ、幻獣と呼べないんじゃ……」


   そうやって過ごしているなら

   と告げる郁人にチイトは首を横に振る。


   「人型になっていないのもいるし、

   なにより脅威は変わってないどころか

   社会で過ごすようになって、戦略を

   練ったり、武器を持てるようになったから

   脅威は倍増してるから幻獣のままだよ。

   龍側も竜人族であり幻獣と名乗ってるし」

   「社会の知識とかもついたからか……」

   〔最初から強いのにさらにパワーアップ

   しちゃったのね……〕


   なるほどなと郁人は感じていると

   ふと疑問がわく。


   「竜人族を名乗ってるって?」

   「初めて人型になった奴らが言った

   そうだよ。それで今は水龍族って言ってる

   みたい。水に関しての魔術が得意だからね」

   「そうなんだ!」

   「ちなみに、幻獣の龍と関係無いんだけど

   地竜族や雷竜族とかいるんだよね……。

   そいつらは住んでる地域の特性にちなんだ

   種族名らしいよ」


   幻獣じゃないから気をつけてね

   とチイトは告げた。


   〔幻獣と間違えたら怒るらしいわよ。

   自分達はあのような強い力を持ってない!

   あの水龍族と同じ立ち位置は恐れ多い!

   って……〕

   (なんだろ……なんとなく敬ってる感じが

   するような?)   

   「竜人族には幻獣である龍を崇めてる

   国もあるからね。

   雷竜族がその崇めてる国だしさ」


   だから気をつけてね

   とチイトは注意した。


   「結構長く説明しちゃったけど

   幻獣についてや、ドラゴンとの違いは

   わかったかな?」

   「わかったよ。

   チイトの説明がわかりやすかったからさ。

   教えてくれてありがとうな」

   「パパに褒めてもらえて嬉しいな!」


   郁人がチイトの頭を撫でると 

   チイトは嬉しそうに頬をゆるめる。


   「水龍の国、ティアマットも行ってみる?

   国の大半が海の上にある国で、

   上から見たら国が海に浮いてるみたいで

   面白かったよ!

   水の都と呼ばれるくらいに綺麗な場所でも

   あるからさ!

   それに、水龍族のトップが船以外にも

   魔物に乗って移動できるように

   したから海の魔物に乗れるんだ!」


   パパの好きそうな魔物もいたよ!

   とチイトは空間魔術からティアマットの

   パンフレット取り出すと郁人に見せる。


   「ほら! パパってこういう丸くて

   フワモフッとした生き物好きでしょ?」

   「わあっ!! アザラシみたいだ!!

   こっちにはイルカみたいなのもいる!!」


   郁人はパンフレットに載っている

   魔物に目を輝かせる。


   「これはアワアザラシって言って

   外敵に襲われたら特殊な泡を出して 

   身を守るんだよ。

   これはアクアイルカだね。

   水中にいると見えなくなってまるで

   溶けているように見える姿から

   そう言われているんだ」

   「へえ〜! そんな魔物もいるんだな!!

   わあ! 亀みたいなのもいるし、どれに

   乗ってもいいなんて……!!

   しかも、ご飯もあげれるのか……!!」


   悩むなあと目をキラキラさせる

   郁人の頭にズシリと乗ってくる。


   「えっ?! なに……!?

   ユー? どうかしたのか?」


   郁人は頭に乗ってきたものに触れて

   降ろせば、乗っていたのは明らかに

   不機嫌なユーだ。

   郁人がチイトに説明を受けている間

   ユーも聞いていたのだ。

   

   ユーはパンフレットの文章を

   テシテシと叩く。

   郁人は文章を読み上げる。


   「えっと……"従魔が泳げる場合は

   従魔に乗って移動することが可能です"」

   「そいつ、自分がいるのにパパが

   他の魔物に乗ることが嫌なんじゃない?」


   チイトの言葉にユーは頷くと、

   じっと郁人を見る。

   まるで責めているようだ。

   

   「うっ……!!

   たしかにユーがいるならこの魔物達に

   乗る必要はないよ!!

   でも、俺はこの魔物達に乗ってみたいんだ!

   お願い! ユー!!

   この子達に乗らせてほしい!!」

   

   郁人はユーに頼み込む。

   が、ユーは嫌そうなオーラを出すだけだ。


   「ほら! 俺を乗せてたらご飯とか

   美味しそうなものあっても食べれない

   可能性だってあるよ!

   でも、この魔物達に乗ってたらそれを

   解決できるし……!」


   郁人はユーを必死に説得した。

 

   〔なんかお小遣いの金額を上げて欲しい

   旦那さんみたいね……。

   ていうか、行くのすぐじゃないのだから

   ゆっくり時間かけて説得も出来るんだけど〕

   「パパが好きに決めていいのに……

   律儀だなあ」


   その様子を見てライコは呟き、

   チイトはコーヒーを飲んだ。





ここまで読んでいただき

ありがとうございました!

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よろしくお願いします!


今年もリクエスト企画を考えておりますので

楽しみにしてもらえたらとても嬉しいです!


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