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241話 コンタットに2人の連絡先が追加された




   食事を終えた郁人は別室にてクフェアの

   診察を受けていた。

   クフェアは診察した内容をまとめている。


   「うん……そうだね」


   結果をまとめた紙を見ながらクフェアは

   告げる。


   「親父から話は聞いてたけど、今のところ

   問題はないみたいだ。その首の噛み跡ぐらい

   しかね。塗り薬を渡しておくからそれを

   噛み跡に塗るように」

   「ありがとうございます。

   ちゃんと塗りますね」


   郁人が塗り薬を受けとると、クフェアは

   ポーチからあるものを取り出す。


   「あと、これ温め薬の改良版。

   温かさの持続時間が延びているんだ。

   試しに飲んでみて。

   俺も試したりしたけど、人によっては

   想定外の事もあるかもしれない。

   だから、体に少しでも違和感を覚えたら

   飲むのはやめるように。

   ちゃんと報告するんだよ、いいね?」

   「わかりました! 薬もありがとうござい

   ます!」


   まさかの改良版に郁人は頬を赤らめ

   ありがたくもらう。


   「まあ、この薬は君専用だからね。

   専用って言うより、君以外飲めない

   って言った方が正しいかな?」

   「? 俺以外飲めない?」

   〔なぜかしら?〕


   郁人は首を傾げ、ライコは疑問符を

   浮かべる。


   「その薬を作るにあたって

   “神々の生き血“を使ってるからだよ」


   作るのは本当に苦労したよとクフェアは

   笑う。


   「君がそれを飲んだら表情筋の動きが

   良くなったと聞いたからさ。

   なら、使わない手はないと思ってね」


   酒を薬に使うのは初の試みだったよ

   とクフェアは告げた。


   「作ってて思ったけど……君、よく水の

   ように飲めたね、驚きだ。本当に驚きだ。

   俺、お酒あまり呑めないからさ。

   唯一呑めるグロリオサや旦那にも

   協力してもらったよ」

   「この薬にあのお酒を?!」

   〔そりゃあんた以外無理ね〕


   郁人は目をぱちくりさせながら

   薬を見つめ、ライコは納得した。


   「…………呑みたかったなあ」


   薬を見ながら、郁人はポツリと呟いた。


   (なかなか家で呑ませてもらえないん

   だよなあ……。外で呑もうとしても止め

   られるし……)

   〔そりゃ、香りだけで酔い潰れる人もいる

   酒をガンガン呑めるのがいるなんて

   夢にも思わないでしょ〕


   あのお酒をねとライコは呟く。


   〔あんたをかなり心配してる女将さんから

   したら当然の行動じゃないかしら?〕

   「呑みたいのかい? 神々の生き血?」

   「若色で呑んでからそれ以来ちゃんと

   呑めてないから……」


   肩を落とす郁人にクフェアはあごに

   手をやったあと、口を開く。


   「ねえ、連絡先を聞いてもいいかい?

   ついでに旦那に君の連絡先教えても?」

   「? 大丈夫だけど?」


   突拍子もなく言われて郁人は目を

   ぱちくりさせたまま、頷いた。


   「良かった良かった。

   これで1つ仕事が完了したよ」


   郁人の携帯画面からバーコードを

   見せてもらい、クフェアは自身の

   携帯で読み込む。


   「見せてくれてありがとね。

   コンタットでフレンド登録したから、

   体調に違和感を覚えたら教えてほしい。

   もちろん、どんなときでもコンタット

   してくれても構わないとも」

   「わかった」

   「あと、旦那にも君の連絡先を教えたから

   連絡がすぐに来ると思うよ」

   

   瞬間、コンタットに未読通知が表示された。


   「あっ! チュベローズさんからだ!」

   〔今更だけど怒られないかしら……?

   あの発禁野郎と連絡とれるのって……〕

   (なんで怒られるんだ?

   って、あれ?)


   その通知はチュベローズだった。

   しかも、プレゼントマークも付いている。


   「プレゼントも届いてる……」

   「やっぱり旦那から届いたようだね。

   押してみなよ」


   郁人がチュベローズのアイコンを押すと、

   プレゼントが現れた。

   メッセージもあり、郁人はプレゼントの

   マークを押してみる。


   〔あの発禁野郎からって……

   とても不安だわ〕

   「これ……!!」


   ライコが怪しむなか、携帯からプレゼントが

   飛び出し、プレゼントを開けた郁人は

   キラキラと目を輝かせる。


   「神々の生き血だ!!」

   「旦那からお願いがあるから、

   その報酬みたいな感じだよ。

   ほら、メッセージを読んでみて」

   「うん」


   神々の生き血を大事に仕舞った郁人は

   コンタットを読んでみる。


   「えっと……」


   《ひさしぶり、仔猫ちゃん。

   登録ありがとう。


   突然で悪いんだけど、君に頼みがあるんだ。

   あまりに突然だから、お詫びに神々の

   生き血を送らせてもらうよ。


   そして、その神々の生き血に関しての

   依頼を君にお願いしたくてね。


   神々の生き血の生産者に君の話をしたら、

   君に試飲を頼みたいと言われてね。

   彼女、結構プライドが高いんだ。

   自分の納得いくものしか販売したくないから

   俺やわんぱくちゃん、もといグロリオサに

   試飲をお願いするんだよ。


   で、仔猫ちゃんも呑めるなら是非、

   味の向上の為に協力をお願いしたいん

   だとさ。

   あと、彼女は言わなかったけど神々の

   生き血に合うシャーベットも気になってた

   ようだから、それも手が空いたらお願い

   したくてね。

   報酬はきちんと弾むよ、彼女がね。

   契約書を送るようにも頼まれているから

   それも送らせてもらうよ》


   読み終わったと同時にプレゼントが

   もう1つ届いた。


   「もしかして……」


   予想がついた郁人が開けてみると、

   中には契約書が入ってあった。


   「やっぱり契約書だ。

   依頼人は……”アラスカ”さん?」

   「アラスカはそのプライドの高い、

   神々の生き血の職人の名前だよ。

   彼女は君に正式にお願いしたいみたいだ。

   契約書まで作るとは、律儀なものだね。

   期間とかもかっちり書いてあって

   完璧な契約書だ」


   彼女らしいとクフェアは微笑む。


   「まあ、神々の生き血を美味しいって

   水のように飲むなんてとても貴重な人材だ。

   しかも、それに合うシャーベットまで

   作れるのは更に貴重だからね。

   おぉ……! 報酬を見てみなよ!

   君がこの契約書を確認次第、先払いされる

   ようだよ」


   普通ならありえない事だ

   とクフェアは目を見開きながら告げた。


   「君との長い付き合いを予想しての

   金額なんだろうけど……本当にすごい!

   しかも、期待以上なら更に倍の額を

   あとで支払うとも書いてあるよ!」


   クフェアは金額の欄を郁人に見せる。


   「先払いでの報酬は……へ?」

   〔桁が1.10.100…………はあ!?❳


   あまりの桁に郁人は目が飛び出しそうに

   なった。

   この依頼を受けただけで、3ヶ月ほどは

   他の依頼を受けなくても問題ないくらいの

   金額だったからだ。

   しかも、期待に応えればさらに貰える

   保証付きである。


   〔会ってもない相手に出す金額じゃ

   ないわよ! ありえないわ!!〕

   「……あの、面と向かってお会いしてない

   相手にこの金額は……」


   郁人はあまりの金額に顔を青ざめながら

   クフェアに告げると、クフェアは笑う。


   「旦那から君の人柄を聞いたから、

   この金額なんじゃないかな?

   君はこのまま持ち逃げするタイプじゃ

   ないだろ? 金額に怯えちゃうくらいなんだ

   から。それにしても……本当に彼女らしい。

   これだけやるからシャーベットもよろしく

   ってことだろうね」


   追求してることに関して金に糸目は

   つけないからねとクフェアは笑った。


   「…………これは全力で頑張らないと!

   もう先払いされているから、味の評価、

   シャーベットは勿論、シャーベットの

   レシピや他に合う料理も考えないと……!」


   郁人は契約書にサインしながら決意した。


   〔これだけ貰ってたらそう思うわよ。

   あたしも思うくらいだし。

   むしろ、期待に応えれるか考えると

   胃が痛くなるわね……〕


   ライコも同意した。


   「そこまで気負わなくていいと思うよ。

   期限までに提出したらいいんだしさ」

   「いや、これだけの金額を出されたら

   頑張らないと……」


   そう言っていると、再びコンタットが鳴り

   プレゼントが届いた。


   「またチュベローズさんからだ。

   これは……お菓子?」

   「それ、旦那のお気に入りの菓子だよ。

   アルコール入りのチョコレート。

   君にも食べて欲しかったんだろうね。

   結構度数高いけど美味いんだよ。

   俺は弱いからほどほどに食べるくらい

   だけど、君ならイケるんじゃないかな?」


   郁人はプレゼントを開けてみると

   高級そうなチョコがあった。


   香りからアルコールが入っていると

   わかるほどで、大人のチョコレート

   という雰囲気だ。


   〔アルコール入りのチョコって匂いで

   わかるわね、それ〕

   「美味しそう! 休憩のときにいただこ!」


   郁人はウキウキしながらチュベローズに

   お礼のコンタットを送信する。


   「あのチョコに入ってるお酒、

   たしかカクテルで意味は……

   旦那わざとだね、渡したの」


   気付いたときの周囲の反応はどうかな?

   とクフェアは悪戯な笑みを浮かべた。




ここまで読んでいただき

ありがとうございました!

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