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プロローグ はじまりのはじまり

初投稿になります。

読みにくい部分もあるかもしれませんが、

よろしくお願いいたします。




木々が並ぶ歩道をアホ毛が特徴的な

黒髪の青年は両足に力を入れ、汗で

へばりつく髪を気にせず、ファイルを

大事に持ちながら必死に走っていた。


「やばい!! 遅れる……!!

なんで……こんな時に限って……

延長……なんだよっ!!」


青年、三河郁人ミカワイクトは待ち合わせ場所に

急いでいた。



大学の卒業制作を決める際に

双子の妹から……


「一緒にゲーム作ろう!」


とお願いされたのが始まりであった。


何を作るか決めかねていた郁人は即了承。

話し合った結果、妹はシナリオ・キャラ

クター原案。

郁人はUIと原案を元にキャラクター

デザインとなった。


あとの背景等は、1人でやるには時間が

かかり過ぎてしまうため、2人でやることに

したのだ。


そして、担当のキャラデザなのだが、

妹の原案が……


「イメージは黒」

「かわいい系は1人欲しい」

「年齢はバラバラ」


と、かなり大雑把であった。


しかし、世界観などは前もって聞いていた

ので、郁人は中学から描いてきた創作

キャラを、世界観と原案に合わせて設定を

練り直した。


卒業制作に、自身にとって愛着のある

キャラを使いたかったからだ。


原案と自身の創作キャラに向き合いながら、

遂に2人で決めた打ち合わせ日までに

なんとか間に合わせたのだ。


そして、郁人は講義終わりに妹との

待ち合わせ場所、いつもの喫茶店へと

向かっていた。


もちろん自信作ではあるが、妹に許可が

もらえるかどうか、郁人の心中は不安な

気持ちでいっぱいだ。


しかし、見せなければどんな反応を

示すかはわからない。

ならば、見せるしかないだろう。

郁人は自信作を手に、喫茶店へ息を

切らせながら走った。




ーそこまでは覚えている。

あとの記憶が郁人にはない。




気づいたらベッドの上で見知らぬ人達に

囲まれていたのだ。


赤や青などありえない髪と瞳の色に、

ファンタジーに出てくるような服装の

人達に……。


囲んでいる人達の話を聞くと、どうやら

郁人は広野に身1つで倒れていたらしい。


郁人の頭は状況についていけずにいた。

訳がわからない、全くもって理解できない。


だって彼は、妹が待つ喫茶店に向かって

いたのだから。


自身の置かれた状況をなんとか整理しつつ、

心を落ち着かせようと、深く息を吸い、

首にかけたヘッドホンに触れ、ここが

どこなのかなど質問をぶつけた。


すると、このような返答だった。



“ここはソータウンという。

ニホンとかあなたが聞きたいことが

わからない。全く知らない”



(もしかして……これって……

異世界転移というやつなのかっ……?!)



数ある小説の主人公のようなタフさが

なかった郁人は気を失った。


頭の中で


ー「あんたの子よ、責任取りなさい」


と声が響いた。


この声が毎夜、警告してくるかのように

夢に出てくること、それにずっと悩まされる

ことになるとはこの時の彼はまだ知らない。



ーーーーーーーーーーー



「この気配は……」



ソータウンからかなり離れた地にて、

毛先が赤い黒髪の男は視線を向ける。


視線の先、方角には郁人がいる

ソータウンがある。


不自然なほどじっと動かずにいたが、

しばらくして何か思い立ったように

歩き始めた。


男が歩いたあとは何も残っていない。


ーまるでそこだけ切り取られたかのように

ー草木も残らず、あるのは鮮やかな赤のみ


そんな不自然な光景を生み出した者の

足取りはどこか軽やかであった。




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