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小話 彼らも屋敷へと




郁人の姿が消えた事に気付いたジークスは

顔を青ざめ、必死に探しながら叫ぶ。


「イクトっ!! どこにいる!?

聞こえたら返事を!!」

「マスターっ!!」


ポンドも必死に声を上げながら探すも

どこにも見つからない。


「ポンド。君は従魔契約をしている。

魔力から彼の居場所を把握できないか?」

「辿ろうとしたのですが……

なにやら妨害されているようでして……」


ジークスの問いにポンドはわからないと

首を横に振る。


「………君は彼の居場所を知っているな」


ジークスは2人の様子を眺めていた

チイトに詰め寄った。


「君は彼に並々ならぬ執着を抱いている。

そんな君が彼が突如消えたというのに

顔色1つ変えやしない。

彼の居場所を知っているからだろう?

答えろ! 彼はどこだっ!!」


チイトの胸ぐらを掴み、歯を剥き出しに

ジークスは訴える。


「ジークス殿! 落ち着いてください!」


ポンドは2人の間に入る。


「今は激昂している場合ではありません。

冷静になられるべきかと」

「私は落ち着いている」

「瞳孔が開いていてもですかな?」

「…………」


ジークスは指摘され、暫し目蓋を伏せた後

深く息を吸う。


「……すまない。頭に血が昇っていた」

「ジークス殿がマスターを大切に

されてるのは承知しています。

それに、竜人は宝が傍に無いと気が

動転すると聞いた事がありますからな。

……チイト殿」


ポンドはチイトを見やる。


「ジークス殿の言うように、

マスターの居場所を知っているのでは

ないですか?

貴方様がこのような状況下で

落ち着いているなど有り得ませんからな」


2人に見られたチイトは息を吐き、

口を開く。


「そうだ。

俺はパパの居場所を知っている。

俺も傍に居たかったが……

あいつがややこしいからな。

それに、俺達と居たほうがパパが危険だ。

巻き込まれてしまう」


パパが危険な目に遭うのは

避けたいからなとチイトは呟いた。


ポンドはチイトに尋ねる。


「あいつとは……お知り合いなのですか?」

「そうだ。

かなり面倒な奴で、今のあいつは

パパ以外どうでもいいからな」

「…………………」


“その言葉をそっくりそのまま君に

返したい”

とジークスは言いかけたが、

郁人の元に早く駆けつけたい為に飲み込む。


「ジジイ。

いわくつきの屋敷には他にも

話があるだろ。言ってみろ」

「あっあぁ」


タイミングよく声をかけられ、

つい上ずってしまったジークスだったが

思いだしながら語る。


「朝露草を採っていると空模様が

怪しくなりポツリポツリと雨が

降ってくる」


3人の頭上に大きな雲が被さり、

影を作り、水が落ちてくる。


「とりあえず、森へ向かいましょう!」


雨が次第に勢いを増し、滝のように

落ちてくる為、凌ごうとポンドが

木々の下、森へ入ることを提案した。


「これは……霧ですかな?」


入った3人は突如霧に包まれ、視界を

乳白色に遮られてしまう。


「皆様! はぐれないように

気をつけましょう!」


気配を頼りに、霧を抜けようと

3人は足を進める。


「……雨をしのごうと森へ入ると、

濃霧に包まれ抜けようと動く。

そして、目の前に……」


ジークスの言葉と共に霧が薄くなり、

消えた矢先、目の前にあった。


近付きがたい雰囲気を醸し出し、

蔦に侵食され、森の中で取り残された、

朽ちていく存在、西洋建築の屋敷が

あったのだ。


「その……屋敷が……ある……らしい」

「話のままですな?!」


話していたジークスは目を見開き、

ポンドは声をあげた。


「ここにパパはいるが、安全なのは

間違いない。あいつの庇護下にあるからな。

が、このように話の通りに招かれた者は

危険だ。

ここで死ねばずっと屋敷で彷徨(さまよ)う事に

なるだろう。

俺はパパを待つ間、屋敷で時間を潰す。

貴様らは勝手にしてろ」


恐れる事無く屋敷に向かうチイトの

背中を2人は追いかける。


「彼がこの中にいる以上、

行かない訳にはいかない」

「マスターの気配は間違いなく

中にありますからな。

従魔ですので、本来マスターのもとへ

行けるのですが、それも妨害されて

駆けつけれませんし……。

ならば、向かわない訳にはいきませんな!」

「…………」


チイトはため息を吐きながら

扉を開けた。




ここまで読んでいただき

ありがとうございました!

面白いと思っていただけましたら

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よろしくお願いいたします!


オムライス:逃げようとしたが仕事仲間に

魔術で拘束された。

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