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130話 クナイの持ち主




聞き覚えのある声と共に視界が黒に染まる。


郁人は怯えることも、戸惑うことも無い。

なんせ、親しみがあるのだから。


郁人は黒に礼を言う。


「チイトありがとう」

「パパ、出るときはきちんと言わないと

駄目だよ。

こんな危ない目に合うかもしれないん

だから」


チイトが振り向きながら頬を膨らませ、

郁人に注意した。


「もう動いても大丈夫だよ。

あの使い魔もいないから」

「あっ! 本当だ!」


郁人の体はいつのまにか自由になっており、

蛇の姿はどこにもない。


「それに、その魔道具なに?

なんで法螺貝なの?」

「これは防犯ブザーとして貰ったんだ。

なんで法螺貝なのかは俺にも

わからないな……」

「まあ、法螺貝の防犯ブザーは

響きやすいから良いんじゃないかな?

それにしても……」


チイトは郁人をじっと見据える。


「まず自分の心配してよ。

なんで塵なんかの心配をするの?」

「いや、だって巻き込んじゃうのは

ダメだろ?」

「俺からしたらこいつがパパを

事件に巻き込んだようなもの

だけどね。

……こいつがパパの視界に入ったから

パパが危ない目に」


郁人に肩を組まれた女を見るチイトの

目付きが冷たいものに変わる。


「ほい! ちょいと待ちな!!」


突然、空から声がした。


見上げると1羽のカラスが飛んでいる。


「あらよっと!」

「レイヴン!」


カラスは瞬きした瞬間、レイヴンへと

変わりこちらへ落ちてきた。


それを見てライコは驚く。


〔ちょ?! あいつ変身出来るの!?〕

(違う。

あれは場所を入れ替わっただけ。

レイヴンは鳥を使い魔にする事が

出来るから。

使い魔の視界を覗き見ることも

出来るし、ああやって場所を

入れ替わる事も可能なんだ)


郁人はライコに説明した。


〔ということは、鳥からも情報を

得る事が出来る訳ね。

情報戦で絶対敵に回したくないわ……〕


ライコはレイヴンの恐ろしさを

改めて感じた。


「間を失礼しますぜ!」


レイヴンは2人の間にひらりと着地した。


「そいつ、行方不明者の1人なんだわ。

保護しねーといけないんだよ。

後、逃げた奴がいるみたいだし、

苛つく前にそっちを……」

「その心配はありません」


郁人の影からポンドが現れた。


「ポンド! ユーもいつの間に!?」


ユーもいつのまにか郁人の肩にいる。


「フェイルート殿から怪しい者を

捕獲するように言われ、

ジークス殿、キュラス殿と共に

別の場にてもう捕獲済みですな」

「さすが、色香大兄は早いねー。

もう虫か花達が連絡してたのかね?」


レイヴンは流石だと笑う。


「マスター、ご無事で良かった。

そして……」


ポンドは申し訳なさそうに郁人に

頭を下げる。


「駆けつけるのが遅れてしまい

申し訳ございません。

マスターが危機にあってたというのに……」

「大丈夫だ。気にしないで。

俺が連絡しなかったらこうなったんだし」


郁人は次から連絡する、気にしてない

と伝えた。


「またこのような事があれば、

真っ先に馳せ参じると約束します。

無いのが1番良いのですが」

「それもそうだな」

「失礼します、我が君」


風と共に花弁が舞い、中から

フェイルートが現れた。


「ご無事でなによりです」


怪我していない姿に胸を撫で下ろした

フェイルートは、郁人達に告げる。


「我が君を脅かす存在はもう

捕まえました。

さあ、宴会場に戻りましょう」


フェイルートの言葉と同時に、

黄色の花々が地面から現れる。


「彼らがボディガードしますから。

君、頼んだよ」


黄色の花は頷くようにふわりと揺れ、

花を舞わすと花弁が郁人とポンドを囲う。

そして、進む道を花弁で示す。


「ポンドの旦那!

俺様達は野暮用あるんで、ぬし様を

ちゃんと旅館に連れて帰るように

頼んます!」

「え?」


一緒に帰るつもりだった郁人は

3人に尋ねる。


「3人は一緒に帰らないのか?」

「我が君を傷つけた輩から情報を

入手しましたので。

行方不明者が1部に集められ、今晩

輸送されるそうなのでその救助へ」

「ちょいと気になる事もありますので」

「俺がいなくても貴様らだけで良いだろ。

俺はパパと……」

「いや、手前にも手伝ってもらいたい事が

あるんでな」


郁人の側に行こうとするチイトを

レイヴンが声をかけた。


「手前も気になることあんじゃねーの?」

「……………」


レイヴンをじっと見た後、納得したのか、

舌打ちはしたものの、行くのをやめる。


「パパ! 気を付けて戻る事!

また塵を見つけても行っちゃ

駄目だからね!」

「大丈夫ですよ。

今度は私もいますし、ユー殿も

いますからな。

マスターが動く前に行動しますし、

危機に遭わせはしませんとも」


ポンドが郁人から女を受け取り、

お姫様抱っこしながら告げた。

ユーも胸を張り自慢げだ。


「3人も気を付けるんだぞ。

怪我とかしないようにな」


チイトのマントの裾を掴みながら

心配そうに見つめる郁人に、

3人は嬉しそうに笑う。


「大丈夫だよ、パパ」

「心配には及びません」

「ぬし様に心配されるのは

嬉しゅう御座いますが、

大丈夫ですのでご安心を」


3人は郁人に思われたのが

嬉しくて周りの空気が朗らかだ。


〔こいつらの実力知ってる者からしたら、

心配なんて更々無いのに。

あんたは心配性なのかしら?〕

(実力は知ってるけど、心配なものは

心配なんだ)


強いことは信頼してるけど

心配はすると郁人は告げた。


「心配を晴らすため、

ぬし様へこれを差し上げます」


レイヴンは頬を緩ませながら、

郁人の手を取り小箱を手渡す。


「戻ったら開けてみてくだせえ」

「わかった。ありがとう」


郁人は大切に懐にしまった。


「では行くぞ。

我が君、寄り道などしないように

してください」

「絶対駄目だからね!」

「ぬし様の護衛頼んだぞ、

ポンドの旦那にユーもな!」


フェイルートが小瓶を取り出し、

煌めく粉を手に出した。


粉に息を吹きかければ粉は花弁に変わり

幻想的な光景を生み出す。


それは3人を包み、消えていった。


〔綺麗ね。

あれ? これってもしかして……〕

「フェイルート殿も転移できるの

ですな……」


ポンドは口をポカンと開ける。


(フェイルートはたしか、花を使って

移動していた設定だったけど、

花弁で代用したのか……)


こういう風にも使えるのかと

郁人は目をぱちくりさせた。


「とりあえず、帰ろっか」

「そ、そうですな。

夜分は冷えますからこちらを」


ポンドは咳払いをした後、郁人の肩に

自身が着ていた上着をかけた。


ユーは郁人に抱っこして貰い、

自身の体温を高めて湯たんぽ代わりに

なる。


〔こいつ、そんな事出来るのね〕

「ポンド、ユーありがとう」


ライコがユーに驚くなか、郁人は

礼を告げた。


「私はスケルトンナイトですので

体調など崩しませんが、

マスターは人間。

風邪をひいては1大事ですからな」

「本当にありがとう。

じゃ、帰ろっか。お酒呑みたいし」

「では、桜の下で皆さんと一緒に

呑みませんか?

紅い桜が気になっておりまして」

「賛成! 俺も気になってたからさ!」


2人と1匹は黄色い花の先導の元、

帰路に着いた。


ーーーーーーーーーー


「で、どうしたよ?」


不機嫌そうなチイトにレイヴンが

話しかけた。


「俺様達にしか聞かせられない

事があんのだろ?」

「……捕まえたのは1人か?」

「あぁ。そうだ。

別の子がもう1人を追跡していたが、

気配を消すのが上手く、撒かれたそうだ」


チイトに突然尋ねられた

フェイルートは少し目をぱちくり

させたのち答えた。


答えにチイトは顎に手をやり

考えたあと問いかける。


「これに見覚えはあるか?」


チイトは回収していたクナイを見せた。


「パパは使い魔の蛇とこのクナイの

持ち主に助けられた。

使い魔のほうは結局敵だったようだが」


あの蛇の使い魔も気になるが

と郁人はこぼす。


「魔力の痕を見たが、使い魔の主が

このクナイの持ち主ではない」

「クナイね……。

作る奴には心当たりがあるが

持ち主にはねえな」


この作りはあいつだな

とレイヴンは顎に手をやる。


「クナイとは珍しい」


フェイルートがクナイをじっと見る。


「この世界には無いものだ。

俺達や我が君のように向こうの

知識があるのやもしれないな」

「……やはりか」

「ん? なに? もしかして

持ち主に心当たりでもあんの?」


苦虫を噛み潰したような顔をする

チイトにレイヴンは尋ねた。


「この持ち主の気配はソータウンに

居た頃からあった。

調べたが、俺が来る前からパパに

付きまとっている」


しかも、あのジジイよりも前からだ

とチイトは眉をひそめる。


「そして、パパに危険があれば

バレないように守っていたようだ」

「俺様達以外の(キャラ)じゃねえの?」

「最初はそれも思ったが違った。

近くに居るあいつはあそこから

離れられない」


他の奴らは遠すぎる

とチイトは告げる。


「もう少し他を探ってみれば

見つけてしまった。

……昔からパパにベッタリな

護衛気取りのあの野郎が」

「……………は?」

「…………もしや、あれか?」


チイトの言葉に2人はしばし固まった。


「あれ……世界を越えて

ここまでついてきてんの?」

「笑えない冗談はやめろ」


有り得ないと呟く2人にチイトは息を吐く。


「俺も冗談と言いたいがな。

探れば探るほどあいつだと

情報が告げている」

「……………俺様のほうでも探っとくか?

気はまっったく進まねーけど」

「……俺も探りを入れよう」


ため息を吐くレイヴンとフェイルート。

その姿から嫌なのが手に取るようにわかる。


「………なんで隠れているんだ?

あれならすぐにパパの前に現れて

ずっと護衛気取りをしてる筈だが」


チイトは顎に手をやり、また考えた。




ここまで読んでいただき

ありがとうございました!


面白い、続きを読みたいと

思っていただけましたら

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