元勇者、魔族の現状を知る
「そういえば、魔王がいなくなったら魔族は誰が統率するんだ?」
「魔王には確か子供がいたはずだ。その何れかが新たな魔王になるはずだ。」
「って事は人間との戦いはまだ続くのか‥‥‥。」
「いや、そうでもないぞ。」
「? どういう意味だ?」
「新たな魔王が和平を望むなら我々は魔王に従うのみだ。個人の意志はどうあれ魔王の意志は魔族の意志だ。」
「つまりは魔王の子供の中に争いを好まない奴がいて、そいつが魔王になったら和平もある、という事か。」
「まぁ、魔王の血を引いている子供達は数百人はいるからな。」
‥‥‥ちょっと待て。
「魔王の子供って、数百人もいるのかっ!?」
「さっきも言ったはずだ。魔王は女好きだ、と。妻だけでも私が知る限り数十人はいるはずだ。」
いやいやいやいやっ!?
女好きにも程があるだろっ!?
ハーレムを目指していたのかっ!?
魔王倒して正解だったわ。
今の話聞いてたら確実にオーバーキルしてたわ。
こっちは恋愛すら出来ずに勇者として旅してたんだからな。
「まぁ、誰が魔王になったとしても、私には関係の無い話だ。戻るつもりは無いからな。」
「俺もサラとは戦いたくないし、もう戦いなんてまっぴらゴメンだ。」
こんな話をした後日、シュバルツからある話を持ってやってきた。
新たな魔王が現れたらしくてサリウス国王に面会したい、と言っているらしい。
それで、俺にも同行してほしい、という事だ。
まだ、時も経ってないのにもう現れたのか。
しかし、サラの話を聞いて、俺の中の魔族のイメージに変化はある。
なので、俺はシュバルツの頼みを受ける事にした。
どんな奴なのか見定めさせてもらおう。




