元勇者、魔族の内情を知る
「アイナ、何やってるんだ?」
「カイヤとミサが光魔法を教えてほしい、と言うから教えてあげてるのよ。」
光魔法というのは、主に傷を癒したり、魔族に対して強力なダメージを与えたりする力だ。
魔族にとっては天敵の様な魔法を、魔族であるカイヤとミサは使えるらしい。
「二人とも、使える様になりたいのか?」
「せっかくもらえた力だから上手に使いこなしたいんです。」
「私達、大きくなったら冒険者になって二人で旅をしたいの。」
「魔王軍とかに入らないのか?」
「軍は魔王様に選ばれないと入れないの。」
「それに、僕は魔王様は余り好きじゃないから。」
「へっ? 魔族って魔王が纏めてるんじゃないのか?」
「私も二人と話して知ったんだけど、魔族が全員魔王を崇拝してる訳じゃ無いみたいよ。」
そうだったのか‥‥‥。
何か意外な真実だな。
その話をサラに聞いてみると、サラも実は魔王を崇拝してる訳じゃなかったみたいだ。
「魔王の評判は正直魔族内でも良くない。私だって正直避けたかったが魔王の命令は絶対だからな。半分諦めて従っていた。」
「マジかよ‥‥‥。 魔王ってどういう奴なんだ?」
「女癖が悪い、無理難題を要求してくる、すぐに怒る‥‥‥。」
出るわ出るわ悪口の数々‥‥‥。
「オーケー、とりあえずクズだ、って言う事はわかった。つか、そんな奴がよく魔王なんてやっていたな。」
「魔力だけは凄かったんだ。そこだけだよ、評価出来るのは。」
言い切ったな、おいっ!
「あと、周囲がサポートしていたんだ。末期ともなるとそのサポートしていた面々を追い出して、周りにイエスマンばっかりをつけていたんだ。」
どっかの権力者も同じなんだなぁ、と思った。