元勇者、公園を作る
「子供達が安全に遊べる場所が欲しいんです。」
ある日、シンシアからこんな要望が出された。
言われてみれば子供の遊び場が無いな‥‥‥。
「わかった、早速作る事にするよ。」
「よろしくお願いします。」
「場所は教会の周辺がいいかな? 人も集まりやすいし。」
「そうですね、目の届く所ぐらいがいいです。」
シンシアからある程度の要望を聞いてクリスタやアムールに相談した。
「遊び場を作るとしたら遊具も必要よね。」
「ブランコとか滑り台が必要だね。それから砂場も。」
「俺も手伝うからなんでも言ってくれ。」
流石は建築士であっという間に図面を書き上げた。
木材は伐採して余った物を使い、鉄はジャレットに錬成してもらった。
大工達と一緒に作業を始めた。
「ノエルさん、手際が良いですね。」
「家の修繕とかやっていたからな。これぐらいの作業は慣れてるよ。」
「そういえば、ギルドの屋根がぶっ壊れた時に修理していたよな。」
手伝いに来てくれているガーザスが言った。
「ギルドって国の施設だから頼めば直してくれるんじゃないんですか?」
「普通はそうなんだが、レバニアは冒険者とかを軽視してる傾向があってな。なかなか費用を出してくれなかったんだ。」
だから、自分達で直すしかないんだが、冒険者の大体は細かい作業が苦手だ。
俺はある程度の作業が出来るから当時のギルド長に頼まれてボランティアでやっていた。
そんな話をしながら作業は順調に進み、数週間後には小さな公園が完成した。
子供達は大喜びだ。
その笑顔を見れただけで満足な気分になる。




