元勇者、開拓団を受け入れる
面談から後日、開拓団の面々がやって来た。
「今日からよろしく頼む。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
開拓団のリーダーはクリスタだ。
「クリスタ、そういえば城のプレゼンはどうなった?」
「まぁ、けんもほろろ、師匠に滅多打ちにされたのがほとんど、私の元職場もプライドを木っ端微塵に打ち砕かれて閉鎖しちゃったわ。私にとっては再スタートをする為には良い機会だったわ。」
何でも公に『建物に必要なのは飾りでは無く安全性である。』と宣言したそうだ。
当たり前と言えば当たり前なんだが、その当たり前を蔑ろにしていた結果が現状なのだから、この宣言は律する為には必要な事ではないか、と思う。
結局、無名の若き建築士が選ばれた、という。
さて、開拓団の面々は早速作業に取りかかった。
クリスタはこの村に必要な施設の建設に取りかかった。
それは病院や宿屋、食堂等である。
何回か村に来た時に、頭の中で色々考えていたらしく、図面を持って来て俺に説明した。
「町を作るのは建築士として最高の夢! それが実現出来るこの環境は最高ですよ!!」
目をキラキラさせて喋るクリスタは輝いて見える。
その気持ちはアムールも同じ様で、クリスタと色々相談している。
昔は仲間達と議論をしていたらしくて、二人とも良い顔をしている。
なんだが羨ましくもある。