元勇者、サラを奴隷から解放する
「此処が俺の家だ。」
自宅に帰って来た俺はサラを家にあげる。
「・・・・・・随分と小さい家だな。」
「貴族の家と比べたりすればな。とりあえず、サラ、腕を見せてくれ。」
「腕か?」
サラは両腕を俺に見せた。
「あぁ、やっぱり『奴隷の烙印』が焼かれているな。」
奴隷には烙印が押される。烙印を押されると、魔力等の本来持っている力を封印される。
「これは一生このままなのか・・・・・・?」
「普通は契約者が解除しなければ一生このままだ。普通はな。」
「何か手立てがあるのか?」
「まぁ、見ておけ。〈解除魔法〉発動。」
サラの腕に手を当て詠唱すると奴隷の烙印が徐々に消えていった。
「おぉっ! これが勇者の力なのかっ!?」
「俺の力、て言うか、基本的に魔法は全て覚えられるんだよ。」
勇者の特権というかレベルを最大値まであげた結果だ。
「力がみなぎってくるのがわかるぞっ! ノエル、何と礼を言ったら良いか!」
サラは凄く喜んでいるが、俺としては大した事をした訳じゃない。
困った人がいれば助ける。
親父の教えだ。
笑顔は何よりの報酬だ、と教えられてきた。
俺は親父の教えを胸に刻んで生きてきたつもりだ。
それはこれからも変わらない。