元勇者、世の中の裏に呆れる
アムール商会倒産の話は俺の元まで伝わってきた。て言うか、シュバルツが報告しに来た。
「アムールは複雑だろ? 自分が関わった店が潰れてしまうなんて。」
「いえ、それだけの事をしてしまったんですからしょうがないですよ。」
「ただ、これで終わりじゃないんですよ。」
「と、言うと?」
「実は貴族の屋敷を建てる時は公平にする為にコンペを行うんですが、その殆どが出来レースなんです。」
「つまり、予め決まっているのにコンペを行うのか、何の為に?」
「世間に対する、いや国に対するアピールですよ。」
汚い事はやっていませんよ、公平に決めてますよ、て言う事か。
「ゼオール兄は貴族に結構なお金を渡していたみたいですよ。」
「建築士が上なのか、貴族が上なのかどっちかわからないな。」
「我々、王族はちゃんと公平にしていますよ。現在も審議を行っています。」
「そういえばコンペってどういう事をやるんだ?」
「設計図や模型を提出してもらい、建築士に説明してもらいます。父上も建築に関しては詳しいのでかなり厳しいですよ。」
「師匠も言ってました。一番難しい仕事だった、て。」
そりゃ、国の顔でもある城を建てる仕事だからな。責任重大だ。
さて、クリスタは大丈夫なのだろうか?