元勇者、静かな異変を知る
早速、教会に入ってもらい女神像の状態を見てもらう。
「なるほど・・・・・・、修復は出来ますけど時間がかかります。」
女神像を一目見てサニーはそう言った。
「流石に不在はマズイですから代用の女神像を用意しますよ。」
「修理するとなるとどれくらいかかる?」
「半月ぐらいかかりますね。」
まぁ、それぐらいならしょうがないか。
「他の仕事もあるだろうにすまないな。」
「いえいえ、丁度時間が空いてましたから。それに、大きな仕事は大手が持っていっちゃいますから。」
「大手と言うとシュヴィアの商会の事か?」
「はい、ただ最近大変な事が起きてるみたいで。」
「大変な事?」
「えぇ、とある伯爵家の自宅がリフォームされたんですが、そこの階段で奥様が転倒されて大怪我をされたそうなんです。」
「足を踏み外す事はあるだろ? そんな大事とは思えないけどな。」
「ただね、奥様は妊娠中だったんですよ。」
「えっ・・・・・・、それじゃあ。」
「はい、流産されてしまいました。それで伯爵様は大激怒してしまい、その担当した建築士に損害賠償を求めているそうなんです。その賠償額も半端無いみたいで・・・・・・。」
「因みにその建築士て誰だ?」
「確か『ゼオール・ドラッガー』て言う人ですよ。」
「えぇっ!? その人僕の兄弟子ですよっ!?」
「えっ、もしかしてアムールを追い出したって言うのは・・・・・・。」
「はい、その兄弟子です。」
なんとまぁ、因果応報とはよく言うが、こんな形でアムールを追い出した罰が当たるとはなぁ・・・・・・。