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元勇者は静かに暮らしたい(Web版)  作者: こうじ
領主編
72/416

元勇者、彫刻家と会う

 内装を手掛け始めて、1ヶ月が経過した。


 ほぼ完成したのだが問題は女神像が無い事だ。


「修復するにも結構精密に作られていますから、余程腕がある彫刻家が彫った物ですよ。」


「って事になると、レベルが高いな。やっぱり新しい物を作った方が良いのか?」


 しかし、当然だがそんな伝手は無い。


 ギルドに依頼するべきなのだろうが、果たして受けてくれるかどうかわからない。


 どん詰まり状態だ。


 が、そんな時に救いの神はやって来る。


「ノエルさん、レバニアに腕の立つ彫刻家がいますから紹介しましょうか?」 


「マジかっ!?」


 ミレットからの提案にくいついた。


「はい、僕の同級生で王族お抱えの彫刻家だった奴です。」


 藁にもすがる思いでミレットにお願いした。


 数日後にその人物はやって来た。


「初めまして、『サニー・ライアス』と言います。」


「ノエル・ビーガーだ、宜しく頼む。」


「こちらこそ。女神像を手掛けるなんて彫刻家にとってはありがたい事ですよ。」


「サニーには兄の事で迷惑かけてしまったからね。罪滅ぼしになるかどうかわからないけど。」


 ミレットが申し訳なさそうな顔をしている。


「別に気にしてないから良いよ。」


「何があったんだ?」


「魔王討伐後、父上の我が儘で兄の銅像を作ったんですが、その製作者がサニーなんです。」


 そういえば、そんな事聞いたな。


「そういえば、その銅像はどうなったんだ?」


「クーデターの時にぶっ壊れました。サニー、アレわざと壊れやすい様に作ったでしょ。」


「あはは、あの時は余りの要求の多さでイラッと来たから、ちょっとした悪戯心でね。」


 見た目とは違ってたくましいもんだ。



 

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