元勇者、教会の意外な真実を知る
「師匠、どうして此処に?」
「お前の噂を聞いてな、様子を見に来たんじゃよ。」
横にはシュバルツがいた。
「シュバルツが連れてきたのか。」
「エモルド様に頼まれたら断れないからな。」
俺とシュバルツはヒソヒソと小声で話した。
俺が元勇者である事はアムールは知らないみたいだからな。
「わざわざ来ていただいてありがとうございます。」
「今は隠居しておるからのぉ、時間が有り余ってしょうがないんじゃ。しかし、お前がこの教会の建て直しを担当しているとはのぉ。」
「エモルドさん、この教会を知っているのか?」
今の口振りは知っていそうな感じだった。
「そりゃあ、儂が初めて手掛けた建物じゃからな。忘れる筈もない。」
『・・・・・・えぇっ!?』
この教会がエモルドさんが作った物っ!?
「儂が駆け出しの頃、此処の当時の村長に頼まれ作ったのがこの教会なんじゃ。外観を見て、当時を思い出したわ。あの頃はとにかく自分が作った建物に人が集まり笑顔になるのが嬉しくてのぉ、何度も見に来たわい。」
懐かしそうな顔をして語るエモルドさん。
「なんだか師匠の雰囲気が全体から漂っていたのはそういう事だったんですか。」
「うむ、当時は成り立てだったから基本に忠実にやっておった。壁も何回も塗り直して漸く出来上がった。それもちゃんと再現しておる。流石じゃの、アムール。」
「ありがとうございます!」
褒められて嬉しそうなアムール。
そりゃあ知らなかったとは言え、師匠の手掛けた建物を弟子が建て直しをしてるんだ。
感慨深い物もあるだろう。




