元勇者、サラの身の上に同情する
「奴隷、って事は、サラは王都の何処かの貴族の家で働いていたのか?」
サラはコクリと頷いた。
「私は元々は魔王様の直属の部下だった・・・・・・。」
えっ!?
「幹部候補とまで周りから言われていたが、部下の裏切りにあって任務に失敗して魔王様の怒りを買い、追放された・・・・・・。おまけに奴隷商人に売られた・・・・・・。」
「ちょっと待て。奴隷商人って言うのは人間か?」
「あぁ、人間の中には我々と繋がっている輩がいる。」
なんてこった、まさか護るべき人間に魔族と繋がっている奴等がいたとは・・・・・・。
俺は何の為に戦っていたんだ・・・・・・。
何か虚しくなって来た・・・・・・。
「サラ、魔王が倒されたのは知っているか?」
「あぁ、屋敷の人間が騒いでいたから知っている。あの国の王子が倒した、と聞いている。」
王国内にはもう知られているのか・・・・・・。
「私が逃げ出したのも、魔王軍の残党狩りが行われる可能性がある、という話を聞いたからだ。差し出されるかもしれないからな。」
「そうか・・・・・・、俺もサラと似たような感じだな。」
「どういう意味だ?」
「俺も仲間の裏切りにあったんだよ。魔王を倒したのはこの俺だ。」
「なっ!? ノエルは勇者なのかっ!?」
「元な。 今はただの村人だよ。」
「そうだったのか・・・・・・。」
「言っておくが、俺はもう戦わない。魔族と敵対するつもりもない。サラの話を聞いて益々その想いを強くしたよ。」