元勇者、感心する
教会の建て直しが始まって半月が経過した。
「外観はほぼ完成したな。」
ボロボロだった壁は見事に綺麗に修復された。
「こんなにボコボコしてなくて綺麗な壁に仕上げるなんて流石は建築士だな。」
「壁塗りは基礎中の基礎ですからね。修行時代は飽きる程やらされましたよ。」
懐かしそうな顔でアムールは言った。
「このシンプルな感じが良いよな。無駄な装飾がされていないって言うのが。」
「この村の風景には派手な外観は似合わない、と思ったんです。」
なるほど、そこまで気を使うとは流石だな。
「次は内装か。」
「長椅子は新たに作り直しましょう。ただ、作れない物があるんですよ。」
「あぁ、これか・・・・・・。」
教会の奥にある『女神像』
それと天井にある壁絵。
これはアムールでも無理みたいだ。
女神像なんかはボロボロになっている。
これは流石に放ってはおけない。
「誰か彫刻家とかいないか?」
「商会にいますけど・・・・・・、流石に。」
追い出された身としては頼めないよな。
「とりあえず直せる物は直していこう。」
「そうですね。」
と
「ほぅ、これは立派な教会じゃな。」
突然、入口から声がしたので振り向くと
「師匠!」
エモルドさんが立っていた。