元勇者、アムールの過去を知る
城を出て再びアムールと合流して、村に戻って来た。
何故かクリスタもついてきたのだが。
「ついてきていいのか? 他に仕事もあるんだろ?」
「良いのよ、私の仕事は図面を書く事だけで、現場には行かないから、って言うか行かせてくれないのよ。」
「何でだ? 現場でも色々指示を出さなきゃいけないんだろ?」
「女である私に指図されるのが嫌な職人もいるのよ。」
なるほどな。いや、納得したら失礼か。
優秀な奴だったら、男も女も関係ないと思うが。
材料は既に用意されており、アムールの指示の元、作業が行われている。
テキパキと指示をしたり指導したりするのはやはり慣れているんだろうな。
「しかし、アムールは建築に関する事が本当に好きなんだな。」
「・・・・・・好きではない、と思うわ。逆だと思う。」
「逆?」
「アムールの両親、詐欺に会って欠陥住宅を買わされたのよ。」
「えっ!?」
「なけなしの貯金はたいて買ったのに・・・・・・、悲しんでいる両親を見て建築士になって立派な家を建ててやろう、って言ってたわ。」
「そうだったのか・・・・・・。でも詳しいな。」
「そりゃそうよ。その欠陥住宅を売ったのは私の父親なんだから。今は絶縁して元父親だけど。」
・・・・・・はい?




