元勇者、訳あり建築士と出会う
「俺はノエル・ビーガー、ハノイ村の村長兼領主だ。」
「改めてアムール・ドラッガーと言います。フリーの建築士です。」
ギルドを出て近くの喫茶店に入って改めて自己紹介をした。
「て言うか、自分で作った商会を追い出された、て言うのはどういう事なんだ?」
「えっとですね、考え方の違いですね。僕は身分は関係なく誰もが幸せに、安全に生活出来る家を作りたくて建築士になったんです。それで仲間と一緒に商会を立ち上げて色んな家を作って行って貴族からも声がかかるようになりました。」
「じゃあ、貴族のお抱えの建築士になったって言う事か。」
「でもね、それは僕の本来やりたい事じゃ無いんです。身分は関係なく誰もが幸せに、安全に生活出来る家を建てるのが僕の目的なんです。有名になるとか金持ちになるとかは全く興味が無いんです。でも、仲間達はそうじゃなかった。」
「裏切りを受けて追い出されたって事か。」
「まぁ、そういう事ですね。不思議ですよね、自分が作った商会を追い出されるなんてね。でも未練なんて無いんですよね。」
あっけらかんと笑うアムールを見て何か俺とかぶって見えた。
そして、信頼出来る奴だ、とも思った。
「じゃあ、とりあえず現場を見てもらいたいんだが一緒に来てもらいたいんだ。」
「良いですよ、まず現場に行かないと。」
俺はアムールを連れて転移魔法でハノイ村に戻った。