元勇者、女の子を拾う
ちょっとした散歩がてら森の奥までやって来た。
「なんじゃこりゃ・・・・・・。」
俺の目の前にいたのは・・・・・・。
「うーん・・・・・・。」
目を回し魘されている女の子が倒れていた。
頭には角が生えており、服装は露出度が高い。
明らかに魔族だろう。
そして、その傍らには食いかけのキノコがあった。
「毒にあたったか・・・・・・。」
状況からそう判断した。
「おい、しっかりしろ。解毒剤があるから飲め。」
さっき刈った山菜の中から解毒作用がある野草を食べさせた。
「うぅ・・・・・・。」
さっきよりは顔色が良くなったみたいだ。
「立ち上がれるか?」
「うぅ、まだぼんやりしてる・・・・・・。」
「しょうがない、背負ってやるよ。」
「かたじけない・・・・・・。」
少女は素直に俺の背中に乗った。
少女を背負いながら俺は歩き出した。
「俺はノエルって言うんだ。お前は?」
「・・・・・・『サラ』だ。」
「なんで倒れていたんだ?」
「・・・・・・お腹が空いたから生えていたキノコを食べたら、急にお腹が痛くなって。」
まぁ、予想通りの答えだったな。
「で、なんで彼処にいたんだ?」
「・・・・・・逃げてきたんだ。人間の街から。」
「人間の街から、って王都から、か?」
「・・・・・・私は『奴隷』なんだ。」