元勇者、土木ギルドに依頼する
ギルドというのは簡単に言ってしまえば日雇いの職安みたいな物だ。
依頼主が依頼を発注し受ける人がいて依頼をこなして報酬を得る。
俺も冒険者時代はギルドに入り浸ってガーザスと共に魔物討伐やら薬草採集とかやったもんだ。
まさか依頼する側になるとは思っていなかった。
そんな訳でシュヴィアの王都にある土木ギルドにやって来た。転移魔法で。
転移はアイナが覚えていたから問題なく出来た。
実際、歩いて行ったら数日かかる距離だから、こういう時に魔法はありがたいと思う。
「これが土木ギルドですか。冒険者ギルドよりちょっと規模が小さいですね。」
ついてきたミレットが冒険者ギルドの建物を見て呟く。
「そりゃあなぁ、冒険者ギルドの方が人気はあるからな。」
そう言って俺達は中に入って行った。
因みに街を歩いても騒ぎになる事はなかった。
レバニアでの事件は当然だがシュヴィアにも知れ渡っているが、俺の名前は公表されてはいない。
王族達や一部の関係者しか知られていない。
国としての配慮だそうだ。
さて、中に入るとギルド独特の雰囲気が漂っている。
依頼をただ受けるだけではなく情報交換の場所でもある。
コミュニケーションを取るのに一番良いのはやはり食事だ。
特に酒なんかは距離をギュッと縮めてくれる。
だから、バーと併設してる所が殆どだ。
とりあえず依頼をする為に受付に行く。
「依頼をしたいんだが。」
「では、こちらの依頼書に必要事項を書いて持ってきて下さい。依頼内容によりこちらで審査を行いランクを決めますので。」
受付で用紙を渡されて近くの机で記入する。
「まずは家の建て直しからだよな?」
「そうですね、期間は1ヶ月くらいにしましょう。」
「報酬はどうする?」
「基本金貨1枚にして、出来高払いでオマケもつけましょう。」
ミレットと相談しながら書いていって、全部記入し終わったので受付に持っていく。
「書き終わりました。」
「はい、記入漏れはありませんね・・・・・・。では、ちょっとお待ち下さい。」
何やらファイルを取りだしパラパラと捲っていく。
「こちらの依頼はCランクとなります。依頼料として銀貨5枚を頂きます。」
銀貨5枚を渡した。
「では、依頼を受理致しました。」
すぐに掲示板に貼られた。
「見つかると良いですね。」
「そうだな。」
「後はちょっと買い物していきましょう。キャミーから花の苗を買ってきてほしいって言われてるんで。」
その後、色々買い物をして俺達は王都を後にした。