幕間 女神降臨
突然現れたアテナにどよめきが起きる。
「な、何故、女神様が自らっ!?」
「貴殿方の愚かな行為に黙っていられなくなったんですよ、メタノル国王。」
冷たい視線でメタノル達を見るアテナ。
「魔王を倒せるのは勇者のみ。貴殿方の役目は勇者を支援する事。ですが、その役目を怠り勇者を裏切り、手柄を横取りしようとした。それが人の上に立つ者のする行動ですか?」
「うぅっ・・・・・・!」
正論を言われ返す言葉も無いメタノル。
「私は人間同士のトラブルに介入するつもりはありませんが、今回ばかりは元凶であるメタノルに罰を与えます。」
「なっ・・・・・・!? 何故、私がっ!?」
「我が友、クアントをつまらぬ嫉妬で軍から追い出し、更にその息子である勇者ノエル殿さえも亡き者にしようとしたっ!」
「し、知らんぞっ!! 儂はそんな奴は知らんっ!」
「・・・・・・いいえ、クアントおじ様の名前を出しておりました。」
「ステラっ!?」
「カイン様から『勇者の父親と我が父は因縁がある。その因縁を断つのは息子である俺の役目だ』と聞いています。」
「ステラっ!? 何を言ってるんだっ!?」
「カイン様、もう終わりなんです。私達は間違えてしまったんです。私は罰を受け入れます。」
ステラは覚悟を決めた目をしていた。
「では、覚悟は出来ましたね? メタノル。」
「ま、待ってくれ・・・・・・、わ、儂は・・・・・・っ!」
「メタノル・レバニア、貴方に神罰を与えます。」
その一言を言った瞬間、メタノルの体から青い炎が燃え上がった。
「ぎゃあああぁぁぁっっっ!!!! あづいあづいあづいぃぃぃぃっっっっ!! 誰がぁぁぁぁ!! げしでぐれぇぇぇぇ!!!!」
全身火だるまになり転げ回るメタノル。
何故かその炎は燃え移る事は無く、メタノルの体だけを燃やし続けた。
そして、ピクリと動かなくなり体は炭化し、灰となってしまった。
アテナはその灰を壷の中へと入れた。
「メタノルの魂は2度と生まれ変わる事は出来ません。貴方達の死後は転生は出来てもこの世の業により過酷な人生が待っています。」
そう言ってアテナは姿を消した。
「さて、貴族の方々、貴殿方には王家との不正や癒着等の疑惑が持たれている。これから事情聴取を行い、罪を明らかにしていこう。」
メタノルの無残な死を見た彼等に反論する余地は無かった。




