幕間 断罪
ズルズルと引きずられたメタノルとカイン親子が連れられて来たのは大広間だった。
そこには拘束された貴族達や大臣達も縄で縛られていた。
勿論、ステラも寝間着姿でいた。
「カイン、これはどういう事なの?」
「全くわからない・・・・・・、何でこうなったか・・・・・・。」
戸惑いが拡がる中、ガッシュ将軍がやって来た。
「将軍! 全員の捕縛が終わりました!」
「そうか、ではこれより断罪を行う!」
「ちょっと待てっ!? 我々が何をしたと言うんだっ!?」
「兵士ごときが貴族に楯突いてもいいと思っているのかっ!?」
貴族達がぎゃあぎゃあ騒ぎ出す。
「うるさい! 犯罪者共がっ! お前達の罪は既にわかっているっ! ・・・・・・今回、立会人としてシュヴィア国のサリウス王にも来てもらっている。」
「なっ! サリウスだとっ!?」
扉からサリウスが入って来た。
「貴様かっ!? このクーデターを影で動かしていたのはっ!?」
「メタノル、私は手を出してはいないよ。だが見逃せない事があってね・・・・・・。勇者の件だ。」
ビクッとなるカイン。
「勇者は我が息子カインだっ! その他に誰がいるっ!?」
「それは可笑しい。神が認めた勇者はノエル・ビーガー唯一人だ。」
ノエルの名が出て動揺するステラ。
「メタノル王、貴方は勇者パーティーの面々に勇者ノエルを魔王と共に殺す様に命令したな? そして、勇者ノエルの功績を息子のカインの功績にした。」
「違うっ!! そんな命令もしてないし、そもそもノエル等という者は知らんっ!」
「王よ、証拠もあるし証言もある。この場で全てをばらせば貴方は終わりだ。」
「証拠だとっ!?」
「聖剣を持って来てくれ。」
兵士が丁寧に聖剣を持って来た。
「この聖剣に残っていた記憶を我が国の魔術師が映像化させた。それがこれだ。」
空中に映し出されたのはノエルと魔王との激闘、そして魔王を倒したが仲間達に置き去りにされた事がわかり絶叫するノエルが瓦礫と共に消えていく姿だった。
それを見てガタガタと震え出すステラ。
「見ての通り、彼こそ真の勇者であり、カインは偽りの勇者である事は明らかだ。」
貴族達もザワザワしている。
「ま、待ってくれっ! こんな映像は作られた物に決まっている!」
『あら? 私が見た光景を嘘だと言うの?』
突然、聞こえた女性の声に一瞬静まった。
聖剣から突然光が発生し辺りを包んだ。
そして、光が収まった。
「全く・・・・・・、愚かな人間達ですね。」
聖剣の横にいたのは金髪の長い髪に杖を手にしている美女だった。
「貴女は・・・・・・、まさか。」
「えぇ、私はこの世界の管理をしている女神『アテナ』、勇者ノエルを指名したのは私です。」
まさかの女神降臨となった。
後、2、3話ぐらいで終わります。現在書いているのを『元勇者編』としまして次からは『領主編』となります。




