幕間 決起集会
戴冠式兼結婚式、前日
軍の倉庫にはクーデターに参加する兵士達が集まっていた。
壇上にガッシュ将軍が立っている。
「諸君! 今、この国は大きな岐路に立たされている! 王族や貴族は自分達の利益しか考えず、民に対し重税を課そうとしている! これは断じて見逃す訳には行かん!」
『そうだっ!!』
「挙げ句の果てに、魔王を討伐した勇者の手柄を横取りし自分達の手柄にしようとした王族は、神の怒りに触れたと言っても過言では無いっ! そんな、王族達にこの国の舵取りを任せる訳には行かん! 我らが武器を取り王族を排除し、この国を正しき道に導くのだっ!」
『そうだぁっ!!』
「万が一、失敗したとしても、その責は私が全て負うっ! お主達の命、この儂に預けてくれっ!」
「勿論ですっ! 将軍っ!」
「無能な貴族や王族はこの国から排除すべきだっ!!」
「俺達の魂は将軍と共にありますっ!!」
「ありがとう、諸君! 儂はお前達の様な部下を持って幸せ者だ・・・・・・。」
ガッシュ将軍は涙ぐんでいる。
「必ず、勝利を我等の手にっ!」
『おおおおぉぉぉぉっっっっ!!』
倉庫内にうねりの様な大声が響き渡った。
ガーザスは決起集会後、自分の部下に役割の説明をした。
「俺達は広場の警護班に当たる。大砲が鳴るのが合図だ。鳴ったら広場に集まった市民を安全な場所に誘導しろ。それと・・・・・・。」
ガーザスは部下達にリストを顔写真入りのリストを渡した。
「コイツらは王族と手を組んで甘い汁を吸っていた貴族のリストだ。見つけ次第拘束しろ。裁判にかけて罪を明らかにする。」
「わかりました。コイツらは俺達を馬鹿にしてましたからね。一泡吹かせてやりましょう!」
「おいおい、やり過ぎるなよ。」
「隊長、隊長はやり遂げたらどうするつもりですか?」
「俺か? 多分、実家からは勘当されるだろうからまた気ままな冒険者に戻るさ。いや、それとも田舎に行って畑でも耕すのも悪くないな。」
「ノエル殿の事ですね?」
「アイツ、冒険者や勇者やっていた頃より表情がイキイキしてるんだよな。今までかなりの重圧に耐えてきたからな。それから開放されたから今が楽しいんだろうな。」
だからこそ、ノエルにはこの計画には参加せずに傍観者でいてもらいたい。
それが友人であるガーザスの意志であり、ガッシュ将軍も同じである。
自分達の国は自分達で守る。
それが彼等の意志である。
強い意志による行動は何よりも強い。
明日の結末は明らかだろう。