幕間 狼狽える人々
レバニア国王、メタノル・レバニアは自室で頭を抱えていた。
「このタイミングで露呈するとは・・・・・・っ!!」
戴冠式兼結婚式を翌日に控えた時に発覚したグダールのスキャンダル。
王族は知っていたが、まさか犯罪まがいの事件を起こしていた事までは知らなかった。
「そういえば、将軍だけは反対していたな・・・・・・。『あ奴はプライベートに問題があるので相応しくない』と・・・・・・。」
どうして聞く耳を持たなかったのか!
後悔しても全ては既に遅かった。
戴冠式を延期する事も考えたが、既に招待状を発送している。
直前に延期する、と宣言したら国の面子が潰れてしまう。
かと言ってこのまま国民の支持が低下している中行われても、国民の不満は上昇し、最悪王家は潰れてしまう可能性がある。
それだけは避けたい。
知恵を絞ってはいるが良いアイディアは出てこない。
「父上!」
バンッと扉を開けて入って来たのはカインである。
「なんとかなりませんか? このままではステラと幸せな結婚式が挙げられませんっ!」
「なんとかできる状況ではない事ぐらいわかっているだろ?明日からはお前が王になりこの国を導いていくんだ。この状況の中、即位するしかあるまい。」
「そんなっ! それじゃあグダールの任命責任を私に全て押し付ける事になるじゃないですかっ!」
「お前は勇者であり王なんだっ! それぐらいの重圧を耐えなければ王になる資格は無いっ!」
「何を他人事みたいに行ってるんですかっ! 元はと言えば勇者の件だって父上が言い出した事じゃないですかっ!」
「お前が『勇者を名乗るべきは私にこそ相応しい!』と言ったからではないかっ! だから、教会に金をやってお前を勇者にしたてあげたんだろっ!?」
ぎゃんぎゃんと言い争う親子の姿は醜態その物でしか無かった。




