元勇者、苦笑いする
戦士グダールの事件は新聞で大きく取り上げられた。
屋敷の惨状から『魔王の残党の仕業では無かろうか?』という噂も出たのだが、その翌日には勇者パーティーに入る前に起こした事件や勇者パーティーに入ってから起こした女性スキャンダルが発覚。
俺の知らぬ所でやらかしていたらしい。
「まぁ、リークしたのは私なんだけどね。」
「容赦ないな。」
「私も女よ。自慢する様に『あの村の女は気持ちよかった。』とか言うのよ。虫酸が走るわ。」
アイナは嫌悪感丸出しで言い放った。
「でも、そのお陰で今までのお花畑モードが一転して、王族に対する不信感が増している。」
ガーザスが王都の現状を教えてくれた。
「世論って言うのは勝手だよなぁ。手のひら返しを平気でしてくるからな。それに振り回される俺達の身にもなってほしい。」
「俺なんか存在すら知られてないんだぞ・・・・・・。でも、好都合ではあるよな。」
「あぁ、戴冠式は明後日だ。それまでにこの噂を消すのは不可能だし、こっちにも大義名分が出来たからな。」
勇者として仲間の責任を取るか、それとも偽の勇者である事を暴露、もしくは白状するか。
どっちにしてもレバニア王族は既に八方塞がりの状態だ。
まぁ、俺は高みの見物をさせてもらうよ。
俺は元勇者だからな。