元勇者、聖王の怖さを知る
「ところでシュバルツ、疲れた顔をしてるけど、何かあったのか?」
いつもの凛々しさは無く、疲れきった顔をしているシュバルツに俺は聞いた。
「此所に来るまでに色々あったんだ・・・・・・。」
「久しぶりの大陸だったから、観光とおみやげ買いプラス抜き打ち視察を行ったのよ。シュヴィアは問題無かったけど、レバニアは問題ありすぎて参ったわよ。」
「その問題を数分で解決するのを見たら驚きを通り越して疲れますよ・・・・・・。」
聞きたいんだが聞いたらいけない様な気がするが、聖王が勝手に喋り始めた。
聖国は基本的に大陸との交流をしていないのだが出張所として『教会』を設置した。
最初はこじんまりとしていたのだが徐々に規模は拡大していって今では国に影響を与える一大勢力となっている。
一大勢力となった一番の要因は『大陸にあるどの国にも従わず、自分達の意見を言える』、というのがある。
世界がおかしな方向に向かおうとしている時にストップをかける、それが教会の本来の役目であり目的である。
「ところがレバニアの教会は王族や一部の貴族と手を組んでいて勝手な事をやっていたのよ。流石に見逃せない状態だから、聖王の名の元にその場で断罪を行ったわ。だけど、今の若い人達は私の姿を知らないのよね。」
「あっ、喧嘩を売って来たのか。」
「その結果、尊い命が犠牲になってしまったわ・・・・・・。」
「いや、『これが聖王っ?』て指差されて笑われてぶちギレて雷を直撃させて炭と化させたじゃないですか・・・・・・。あれであの場にいた全員、降伏せざるを得ない状況にしたじゃないですか。」
実力行使に出たのか・・・・・・。
「好きでこんな姿をしてる訳じゃないのよっ! 私だってナイスバディになりたかったわよっ! だけどこの姿で不老不死になっちゃったんだから仕方ないじゃないっ!!」
・・・・・・うん、女性の容姿に関する発言には気を付けよう。




