幕間 元勇者、漫画になる5
「遂に5巻目か、今回はジャレット達が表紙だな」
送られてきた本を見ながら俺は言った。
「サラの連続表紙記録も途絶えちゃったね」
「まぁ、それは別に良いんだが……、アレは大丈夫なのか?」
サラが指差した先には本を持って固まっているジャレットとツンツンと触っているレダがいた。
「お〜い、ジャレット大丈夫か?」
俺はポンと肩を叩いたらハッとジャレットが気がついた。
「……はっ! す、すいません! 表紙になってるのを見て思わず意識が飛んでしまいました!」
「……お母さん、恥ずかしがり屋だから」
「だ、だって……、私がまさか表紙になるなんて……」
「それだけ活躍している、という事だ。 もっと自信を持った方が良いぞ」
俺の言葉にレダがウンウンと頷いている。
「あ、ありがとうございます……」
そう言ってジャレットは顔を真っ赤にしていた。
「後もう1人凹んでいる人物がいるんだけど」
アクアが苦笑いしながら指差した先にはシンシアが頭を抱えていた。
「シンシア、どうかしたのか?」
「過去の私の頭の固さに自己嫌悪に陥っています……」
「でも、邪神教団壊滅の為に教会の命で動いていたんだろ?」
「それでも、もっと疑問に思っていればレダも危険な目に遭わなかった訳ですし……」
「シンシアさん、理由はどうあれレダと会わせてくれた事は感謝してますし錬金術師として評価していただいた事は感謝してますから」
「……過去は過去」
「はぁ~、2人が神々しく見えます」
「まぁ色々あったけど今はこうして仲良く過ごしているんだから良いじゃないか」
「そうそう、水に流して今を楽しまなきゃ、でも、この村て個性的な人が多くなって来てる様な……」
確かに魔族のマリーとかテイマーのリンドラとか個性が強い奴が多いよな。
……あれ? 俺は『静かに暮らしたい』と思っているけど程遠くなってる?
「……まぁ良いか」
考えても仕方ないし、楽しく賑やかな日常に満足しているのは確かだ。
これからもこんな日常が過ごせれば良い、と心から思う。
どうも、こうじです。
本日8月19日はコミック版『元勇者は静かに暮らしたい』5巻の発売日です!
皆さんのおかげで続いている事を感謝しています。




