元勇者、アリスの話を聞く
「サラと再会してからずっとメリアの行方を探していて最近になって漸く見つかったのよ」
「見つかった、って何処にいたんだ?」
「地下闘技場でとある貴族に戦闘奴隷として扱われていた」
サラと同じく奴隷になっていたのか……。
「ちょっと待て、地下闘技場って確かこの間摘発された、て新聞で読んだが」
「そう、シュヴィア国と共同で私も摘発に参加したのだ。魔族が何人かいる、と言われれば黙っている訳にはいかないだろう、勿論買った貴族にはそれ相応の報いは受けてもらった」
報いの内容は聞かない方がいいな。
「だがメリアは保護した時は感情もなく喉も潰され声が出せない状態になっていた。オマケに酷い扱いを受けたせいか心の壁を閉ざしていてな……、サラと再会させる状態ではなかった」
「という事は今は大丈夫、という事?」
「保護した時よりはマシになった、だからこうして連れてきたのだ」
「サラお姉ちゃん、大丈夫かな? まさかこんな所で再会して戦うなんて……」
「その辺は大丈夫なんじゃないかな?あれ見て」
ユウスケが会場を指差すと既に試合は始まっていた。
打撃で攻撃してくるメリアをサラは剣で防ぎつつ攻撃するがメリアは躱している。
正に一進一退の攻防だった。
「サラの奴、なんか楽しそうだな……、笑みを浮かべているぞ」
「サラも基本的には戦うのが好きだからなぁ」
拳と拳で語り合ってる、という事か。
「似た者姉妹だね」
アクアの一言に納得した。