元勇者、謎の格闘家を知る
倒れた男は担架にて運ばれ第2試合の選手が出てきた。
「次の対戦相手がサラの相手となるのか……」
剣士の男と格闘家、覆面をしているが体型から見て多分女性だと思う、が対峙していた。
「この場合、どっちが有利だと思う?」
「うーん、剣に対して生身の身体だからね……、でも格闘家の女性は強いよ」
ユウスケがそう断言した。
「さっきのバトルロイヤルから見ていたけど相当鍛えているみたいで軸がぶれてないんだよ。動きに隙が無いんだよ」
確かに立っているだけで迫力がある。
そして、試合が始まったが剣士は剣を構えるが全く動こうとしない。
格闘家は構えてジリジリと動いている。
そして、一瞬だった。
格闘家は一気に間合いを縮め剣士に詰め寄り剣を叩き落とし背負い投げをかましたのだった。
勿論、剣士は戦闘不能となり格闘家が勝った。
「強いな……」
「そりゃそうだ、我が魔族でも優秀だからな」
アリスがエヘンと胸を張る。
「え、魔族って……」
「国王から魔族の中からでも出場してほしい、と頼まれて募集をかけたら立候補したのが彼女だ」
国王、そんな事頼んでいたのか。
「しかし、サラとぶつかるとはやっぱり運命なんだな」
「え? あの格闘家ってサラの知ってる奴なのか?」
「その通り! 多分正体を知ったらサラはビックリするだろうな」
アリスが悪戯っ子な笑みを浮かべた。




