元勇者、実家を建て直す
「さて、とりあえず住む場所を確保しなきゃいけないな。」
実家は既にボロボロ、所謂『廃墟』状態だ。この状態を何とかしなきゃいけない。
「まずは・・・・・・、〈浄化魔法〉、発動。」
目を閉じて呪文を詠唱する。
埃が一瞬にして消え去り、淀んでいた空気が爽やかな空気へと変わった。
「次は・・・・・・、〈建築魔法〉、発動。」
ボロボロだった壁は修復され穴だらけだった床も新品同様にピカピカになった。
「とりあえず、形だけは良くなったな。」
見た目だけは普通の家にはなっただろう。まぁ、周りが廃墟ばっかりだと目立つかもしれないが。
しかし、こんな形で旅先で出会った建築士のおっさんが教えてくれた魔法が役に立つとは思わなかったよ。
おっさんに感謝しないといけないな。アイナは戦闘以外の魔法は役に立たない、と覚えなかったが、魔王が倒された今では、冒険者以外は戦闘魔法は必要ない。これから必要なのは日常生活でも活用できる魔法だ。
グギュルルルル・・・・・・
「そういえば、お腹空いたな。どうしようか・・・・・・。」
近くの街だと王都しかないが、今は正直行きたくない。
「森に入って、何か探すか・・・・・・。」
俺は近くの森に入り食物を探す事にした。