元勇者、計画をたてる
俺の元にその報告を受けたのは城から帰ってきた翌日の事だった。
「エレインがいなくなった?」
「はい、しかも例の鎧も一緒に消えてしまって……」
一足遅かったか……。
「騎士団総出で探しています。 被害が起こる前に見つかればいいんですが……」
「多分、被害は出ないだろう。 敵の狙いは俺だろうから」
「ノエル様をですかっ!? ……なるほど、勇者だからですね」
リリアは驚きの声をあげたが少し考えてから納得した。
「あぁ、魔族にとって俺は脅威だからな」
今はアリスの方針で友好的な関係を築いているが、中には納得していない輩がいるはずだ。
その輩が今回の計画を考えたんだろう。
「でも、どうしましょう。 武術大会まで時間も無いのに……、延期や中止にした方が……」
「いや、予定通りやった方がいいだろう」
「えっ!?」
「多分、敵が動くのは武術大会の時だろう。 相手は動く鎧だからな。 万が一エレインが倒されたとしても寄生先は他にもいる」
「あっ!? 各地の猛者達が集まりますからね」
そう、だから武術大会は予定通り行われた方が良いのだ。
そう考えた俺は密かにある計画を考えていた。
多分、被害を最小限に抑えるにはコレしかないだろう。




