元勇者、忠告をする
ユウスケの話を聞いた翌日、俺とリリアは城に来ていた。
「なんとっ!? 魔王の遺物がこの城にあるとっ!?」
「もしかしたら騎士の誰かが使用している可能性があります。 至急点検をお願いします」
「わかった。エレイン、すぐに騎士達の使用している鎧を点検せよ」
「了解しました」
そう言ってエレインは部屋を出ていった。
「お父様、エレインの様子がおかしいと思うのですが」
「うむ、ここ最近元気が無さそうなんだが……」
確かに顔色が悪いし生気が無い。
「しかし、つい最近の魔物退治では積極的に動き成果を上げている……」
「結果は出しているのにあの状態か、ちょっと気になるな……」
俺は一旦離れてエレインに話を聞く事にした。
「エレイン、ちょっと良いか?」
「あぁ……、ノエル殿か……、どうかしましたか?」
「いや、明らかに元気がなさそうに見えるんだが」
「いや、大丈夫ですよ……」
そう言いながらもフラフラと倒れそうになった。
「おいっ! しっかりしろっ!!」
俺はエレインの身体を支えた。
その時、エレインの体から黒い物を感じ取った。
勇者時代も人間に紛れて魔族が潜んでいた事がある。
その時も同じ黒いものを感じた。
(まさか、エレインが使っているのか?)
「申し訳ありません……、ここ最近仕事が忙しくて寝れていないんですよな……」
「エレイン、最近鎧を新調しなかったか?」
「いえ、新調はしていませんがいつも使っていた鎧がボロボロになってしまったので修理に出して今は代用品を使っているんですよ……」
「その代用品ってどこにある?」
「騎士団の倉庫にありますが……」
「ありがとう」
俺は倉庫へと向かった。
多分、狂戦士の鎧を使っているのはエレインだ。
疲労は瘴気の影響を受けているからだ。
早めに処理しないとエレインの命にも関わる。
俺は急ぎ足で倉庫に向かった。
本日、コミカライズ第2話更新です、そちらもよろしくお願いいたします。




