元勇者、ユウスケに頼む
「え~と、ちょっといいかな?」
「ユウスケ、どうした?」
俺とアリスの話を黙って聞いていたユウスケがおずおずと手を上げた。
「ノエル、この男は?」
「俺のかつての仲間でユウスケって言うんだ」
「はじめまして、ユウスケ・アナンと言います。アリス様、その狂戦士の鎧ってどんな見た目かわかります?」
「それなら資料を持ってきている」
そう言ってアリスはカバンの中から書類を取り出した。
「これが狂戦士の鎧だ」
「見た感じ普通の鎧だな……」
「禍々しい感じはしないね」
「怪しまれない様に普通の鎧に似せて作ってある。
着て初めて効果が現れる様になっている」
「用意周到だな……」
もし実用化されていたら厄介な事になっていたんだろうなぁ。
「ふむ……」
ユウスケは鎧の絵を見ながら顎に手を当て考えていた。
「もしかしたら行方がわかるかもしれない」
「本当かっ!?」
「うん、喫茶店のお客さんには武器を扱っている人もいるからね、ちょっと聞いてみるよ」
「ノエル、ユウスケは信用できるのか?」
「ユウスケは諜報能力が高いんだ。 アイツの掴んだ情報は間違いない」
パーティー組んでいた時にユウスケには散々助けられたからな。
その2日後。
「鎧の行方がわかったよ」
「早いなっ!?」
「うちのお客さんに流浪の武器商人がいてね、フードを被った怪しい男に鎧を買ってほしい、って頼まれて買ったんだって」
「いや、商人って目利きがきくだろ?」
「よくよく聞いたら鎧を購入する時のやりとりがあまり覚えていないんだって、催眠魔法を使ったかもしれない」
「で、鎧はどうなったんだ?」
「うん、騎士団に購入されていたんだ」
おいおいおい……。




