元勇者、妖精姫と会う
戴冠式まで後6日
王都では着々とクーデターの準備が進んでいるらしい。
村にいると別世界の事に思える。
そんな中、村に古ぼけた馬車がやって来た。
中から降りてきたのはミレット王子と可愛らしいけど気品のある少女だった。
「勇者ノエル様ですか? 私、レバニア国王女のキャミー・レバニアと申します。」
スカートの裾をつまんで挨拶をした。
「はじめまして、ノエル・ビーガーと言います。」
「あっ! キャミー様!」
「サーニャ姉様!」
サーニャの姿を見た瞬間、キャミー王女はサーニャに抱きついた。
「サーニャ姉様、お元気そうで何よりです。私が力を持たないばっかりに辛い思いをさせて申し訳ありません。」
「こちらこそ、いきなり姿を消して申し訳ありません。別れの挨拶も出来ずにいきなり追い出された物ですから。」
「カインお兄様はそんな酷い事をしたんですかっ!? サーニャ姉様が王妃教育をどれだけ頑張ってきたのかわかってないんですかっ!」
喜んだり怒ったりする姿は年頃の女の子だ。
「仲が良いんだな。」
「キャミーは一人娘ですから、サーニャ嬢を姉の様に慕っていましたから。」
「しかし、よく城から逃げ出してこれたな。」
「えぇ、下準備をしてバレない様に変装もしてここまで来ました。多分、出ていった事も気づいてはいないでしょう。他の貴族や国民も続々と王都から逃げ始めていますよ。」
「そんなに広まっているのか。」
「何せ、農作物の不作、物価の上昇等庶民生活に影響が出ています。魔王が倒されたら生活が良くなる、と期待していたのに悪化してますから、庶民の不満は徐々に高まっています。」
「王族には届いているはずだろ?」
「それが僕の仕事なんですよ。父上にも改善した方が良い、と進言してきましたが・・・・・・。」
「聞く耳もたず、か。それはもう魔王云々の問題じゃ無いだろ。」
「そうですね・・・・・・。僕達の自己責任ですね。」




