幕間 ユウスケの従姉妹
従姉妹のナミが現れたのは数日前の事だ。
「はぁ~、今日も良い天気だなぁ」
僕は店先の花壇に水をあげていた。
「ん?」
ふと道を見るとフラフラと歩く人の姿があった。
(歩き方からして飲まず食わずで旅をしてきたのかな? しかもあの格好って……)
旅装束姿で顔は菅笠で見えないけど多分身長からして女の子だろう。
って言うかこの衣装は間違いなくワ国の者に違いない。
「って危ないっ!」
フラフラと今にも倒れそうになったので僕は思わずその女の子に駆け寄った。
「だ、大丈夫っ!? ってナミっ!?」
「うぅ~……、そ、その声はユウスケ叔父ですか? よかったぁ、漸く会えましたぁ」
これが従姉妹のナミとの数年振りの再会だった。
「ユウスケの従姉妹なんですか?」
「うん、僕の母さんの弟の娘なんだよ」
とりあえず店にいれてミナに説明、サンドイッチを作って食べさせた。
「はぁ~、数日ぶりに食べれました」
「飲まず食わずで此処まで来たの?」
「いえ、ちゃんとお金は持っていたんですよっ!? だけど賊にやられてしまって……、私とした事が油断してました」
悔しそうな顔をするナミ。
「て言うか、よく此処がわかったね」
「コウさんが教えてくれたんです」
やっぱりコウさんか……。
「しかし、ナミも旅に出れる年齢になったのか……」
「はいっ! 私も18になりました! だからミカド様にお願いして外の世界を勉強する為にやって来たんです」
「まぁ、いきなり痛い目にあったのは良い勉強だと思うよ」
「うぅ……、おかげで無一文ですよぉ……」
何はなくともお金は必要だ。
「そういえば、もうすぐ武術大会があるからそれに参加してみたらどうですか? 上位に入れば賞金が出ますから」
「本当ですかっ!? 是非参加してみたいです!」
こうしてナミの参加が決定したのだ。