元勇者、ユウスケの訪問を受ける
武術大会まで一週間となった。
俺も村長としての仕事の間にサラやリリアと共に鍛練をしていた。
「お疲れ様」
「おぅ、ユウスケか」
「差し入れにサンドイッチ持って来たよ」
ユウスケがバスケットにサンドイッチを持ってやって来た。
「ありがとうな、町の方はどうなってる?」
「徐々にだけど盛り上がっているよ。 年に一度のイベントだしノエルの勇姿が見れるって話題になってるよ」
「……そんなに期待されても困るんだがなぁ」
「仕方がないですよ、ノエル様は勇者なんですから」
そう言ってリリアが笑いながらサンドイッチを食べる。
「店でも誰が優勝するか、話題にもなってるし」
「そんなに有力な奴が出るのか?」
「うん、常連の選手もいるし、ただまだ一人も連覇をしてないんだよ」
「そうですね、一般の部は国外からも参加する事が出来ますから腕に覚えありの人々が集まってきます」
「そうか……、私も気合いをいれてかからないといけないな」
「うん、それでね……。 実はその武術大会に僕の従姉妹も出るんだ」
「はぁっ!?」
俺は驚きの声をあげた。
「それって『ナミ・アナン』の事ですか? アナン姓を名乗っているからもしかしたら、と思ったんですが」
「そうなんです。 ナミは僕の母さんの弟の娘で最近、ミカドから許可を得て出てきたんです」
「と言う事はユウスケと同じシノビなのか?」
「そうだよ、『クノイチ』って言うんだけどね」
この武術大会、一筋縄ではいかないみたいだな。




