元勇者、ガーザスの事情を知る
戴冠式まで残り1週間となった。
それはクーデターまで1週間という事。
・・・・・・世界を救った筈なのになんでこうなった?
まぁ、今更な話なんだけども。
「俺は何の為に魔王を倒したんだろうか・・・・・・。」
「気持ちはわからない訳ではないよ。お前はあくまで直接には関係していないんだから。」
今回のクーデターには俺は参加しない。
王都に行く気も無いし、あのバカ王子達の顔を見たくもないからな。
「お前は良いのか? お前の両親は国王派なんだろ?」
ガーザスの家は古い頃から国王家と親交がある。
両親にばれたらガーザスは多分勘当されるだろう。
「あぁ・・・・・・親父が最近疲れた顔して帰って来る事が多いんだ。目が死んでいるってああいう事を言うんだな。どうやら国王や一部の貴族が無理難題を押しつけてくるみたいなんだ。」
「戴冠式関連か。注文が多そうだな。」
「昔から国のイベントに引っ張り出されて・・・・・・、予算オーバーで頭を抱えて。そんな親父の姿を見てるから王宮の仕事に就くなんて嫌だったんだよ。だから、1回冒険者になったんだが、実家に連れ戻されて騎士団に入れさせられたんだけどな。」
ガーザスの両親の話を初めて聞いたような気がする。
「で、今回の戴冠式、今までで一番金がかかっていたみたいでさ。ついに体調崩しちまってさ・・・・・・。 やっぱり家族は大事だからだな。」
「そうか・・・・・・、」