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元勇者は静かに暮らしたい(Web版)  作者: こうじ
領主編
376/416

元勇者、騎士狩り事件の後日談を語る

「それで、その後どうなったんだ?」


「シェイルは今シュヴィアの騎士団でお世話になってる。それと襲われた騎士はみんなシェイルを門前払いにした奴らしくて軽く説教はされたらしい」


「あれ? じゃあガッシュ将軍が襲われたのは?」


「たまたま出くわして手助けしようとしたみたいだ。 シェイルも悪気は無かったらしい。 反省してたよ」


「そっか、まぁガッシュ将軍はあまり気にしない人だから豪快に笑い飛ばすだろうなぁ」


「俺もそんな気がする」


 俺はガーザスに事のてん末を話した。


「しかし、魔道具士が現れるとはねぇ……」


「あぁ、魔道具自体が貴重な物だからな」


 魔道具は文字通り魔力を使って使用する道具の事だ。


 当然だが魔道具士は魔道具を作る職人の事を指すのだが魔道具と言うのは凄く複雑な仕組みをしており取り扱いがなかなか難しい。


 だから常に手入れが必要でその手入れが出来るのが魔道具士なのだ。


「で、今アイナの杖を診て貰っている訳だ」


「そういう事」


 ギルドの隅で現在アリルはアイナの杖を診ている。


 魔法使いに取って杖は大事な魔道具だ。


「どうかしら? 長年使っているから性能が落ちちゃっているみたいで」


「う~ん、ちょっと一部腐ってますねぇ。削ればまた良くなりますから腐ってる部分を除去しちゃいましょう」


 アリルは暫く村に滞在する事になった。


 そもそも出稼ぎに来たのは国では魔道具士として生活できない為らしい。


 何か結構色々あったらしいが本人が言うつもりも無いみたいだし俺も深堀をするつもりはない。


 ……藪を叩いたら蛇が出てきそうな感じがするから。


「そういえば武術大会って1ヶ月後なんだよな」


「あぁ、国をあげてのお祭りみたいだからな」


「それって誰でも参加できるのか?」


「国の推薦とか色々資格があるらしい」


「それだったらお前も参加する資格、あるんじゃないか? 勇者だし」


「止めてくれ、俺が主に相手にしていたのはモンスターだし人相手の戦いは力加減がわからない」


 この時は他人事だと思っていた。


 が、世の中と言うのはよく出来てるもので……。


 特別推薦枠で参加する事がいつの間にか決まっていた。


 ……何故?





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