元勇者、騎士狩りを制圧する
騎士狩りはすぐに姿を消した。
「き、消えたっ!?」
「ここだよ♪」
「リリア、後ろだっ!」
すぐにリリアは横に避けた。
「へぇ、私の動きにこんなに早く動けるなんて流石だねぇ」
顔は見せないがニヤニヤは笑っている。
この状態は楽しんでいるのがわかる。
アイツを止めるには圧倒的に倒すしかないか。
俺は剣を構えた。
「おっ、やる気だねぇ、好きだよそういうの」
「行くぞっ!」
俺は一瞬に騎士狩りとの間合いを縮める。
ガギィン!という剣と剣がぶつかり合う音が聞こえる。
「なかなかやるねぇ、いいよぉ!」
そう言いながらもつばぜり合いは続く。
(コイツ、確かに力が強いな、でもそれだけだ)
俺は隙を見て次に振りかぶって来た瞬間をサッと後ろに引いた。
予想通りに騎士狩りの剣はそのまま地面に降りた。
「あれ?」
「私がいる事を忘れてませんかっ!」
それを見たリリアが騎士狩りの捕獲しようとする。
「リリアっ! 剣には仕掛けがあるぞっ! 気をつけろっ!」
騎士狩りは剣を地面に刺した。
「ひゃっ!?」
リリアは間髪避けたが地面に衝撃波が走った。
「クッ、承知済みかぁ」
「あぁ、お前の手の内はわかっているぞ! 全部アリルから聞いてるぞ」
「えっ!? アリルがいるのっ!?」
「えぇ、ここにいますよ」
柱の陰からアリルが現れた。
「ゲ……」
明らかに動揺してるな。
「一体何をやってるんですか、こんな闇討ちみたいな事をやって……、正々堂々戦うのが姉さんの主義でしょ」
「うぅ、それは……」
突然の妹の登場に明らかに動揺してるな。
「とりあえず拘束させてもらいますね、『スパイダーロープ』」
アリルが手を広げると指輪から糸が出てきた。
「うげっ、それは止め……、ギャン!」
一瞬にして騎士狩りの体は糸で雁字搦めになった。
「今のは……『魔道具』ですか?」
「はい、私が作ったものです」
え、作った?
「私、『魔道具士』なんです」
にっこりと笑うアリル。
「えっ!? 魔道具士って結構レアな仕事ですよっ!?」
「そうなんですか? 母国には結構メジャーですよ」
マジか……。




