幕間 騎士狩り
シュバルツ国王都、草木も眠る丑三つ時
「特に異常はないな」
「あぁ、しかし夜のパトロールはキツイな」
「そういうな、これも大事な仕事だ」
「わかってるよ」
騎士二人が夜のパトロールをしていた。
「そういえば今日の朝礼で最近騎士狩りが出没している、と言う話があったな」
「あぁ、そういえばそうだな、魔王が倒されて平和になっても物騒な事が起こるもんだな」
「気を引き締めないといけないな」
二人は今朝の朝礼で言われた騎士狩りについて話をしていた。
と、『何か』が二人の前を横切った。
「おいっ、今何か通らなかったか?」
「確かに、怪しいな」
そう言って騎士の一人が『何か』を追いかけて行った。
「おいっ! 単独行動は禁止って言われているだろっ!」
慌ててもう一人の騎士が追いかけて行く。
が、その直後だった。
「ぎゃああああぁぁぁぁっっっっ!!!!」
突然、悲鳴が上がった。
「っ!? おいっ、どうしたっ!!」
慌てて悲鳴が聞こえた方へ向かうと『何か』を追いかけて行った騎士がぐったりと倒れていた。
「おいっ! 大丈夫かっ!?」
相棒の騎士が起こそうと顔を見たが白目を向いて泡を吹いて気絶していた。
「コイツはうちの隊の中でも一、二を争う実力者だぞ。一体誰が……」
「私がやった」
「っ!?」
慌てて振り向くとフードで顔は見えないが全身黒装束の小柄な人物が立っていた。
「お兄さんも騎士なんでしょ? だったら遊ぼうよ」
声からして少女であろう黒装束はニヤリと笑った。
「ふ、ふざけるなぁっ!!」
騎士は剣を抜き黒装束に向かった。
しかし、黒装束はひらりと高く飛んだ。
「なぁっ!? ぐえっ!?」
次の瞬間、背中に衝撃がかかり倒れた。
「クスクス、なぁんだ、お兄さんも弱いね」
「な、なにを……」
立ち上がろうとした時だ。
「遅いよ」
黒装束はいつの間にか間合いを詰めていた。
次の瞬間、
「ぎゃああああぁぁぁぁっっっっ!!!!」
騎士の全身に激痛が走り先ほどの騎士と同じように悲鳴を上げた。
「ん~、この『ビリビリ剣』はやっぱり効くね~♪」
ドサッと倒れる騎士。
「じゃ、戦利品を貰うね、……なんだ、普通の騎士かぁ、今度はもっと強い騎士を狙わないといけないなぁ。あ、そういえばこの国には勇者がいるんだよね? ん~、ちょっと狙ってみようかな?」
黒装束は騎士の鎧から騎士章をはぎ取り次のターゲットを考えつつ闇に消えていった。