元勇者、騎士団の訓練を見に行く
後日、俺はシュヴィア城にやって来た。
「あのガッシュ将軍がそんな怪我を負ったんですか……」
「あぁ、だから一応注意はしておいた方が良い」
「態々ありがとうございます、騎士団の面々にも伝えておきます。あっ、そうだ。折角でしたら騎士団の訓練の様子を見学していきませんか?」
「そうだな……、ちょっと見学していくか」
俺はシュバルツからの提案を受けて騎士団の訓練を見せてもらう事にした。
「ここが訓練場です」
「流石に広いなぁ」
「騎士団には現在1000人が所属していてこうして日々の鍛錬に汗を流しているんです」
シュバルツの説明を聞きながら俺は騎士達の訓練の様子を見ていた」
「今、鍛錬をしているのは第1部隊です。 特にエリートと呼ばれている面々です。あそこで指示を出している男性がいるでしょ」
「あぁ、あれが隊長か」
「彼が第1部隊の隊長を務めるエレイン・レバンズです。今シュヴィア国の中では一番強い人物です」
シュバルツが指さした先にいたエレインは見た目爽やかな青年と言う感じだ。
「よし、止めっ!」
エレインの号令で騎士達は動きを止めた。
「本日の訓練は此処までとする」
『はいっ!』
「各自自由時間となるが騎士の自覚をもって行動をする様に、では解散っ!」
エレインの号令で騎士達は散り散りになった。
「お疲れ様、エレイン」
「これはシュバルツ様」
シュバルツが声をかけるとエレインは丁寧に頭を下げた。
「こちらはノエル・ビーガー様だ」
「あぁ、貴方が勇者様ですか、エレインと申します」
「ノエルだ、よろしく」
「エレイン、ちょっと耳に入れておきたい事がある」
シュバルツは騎士狩りの事、ガッシュ将軍の事を話した。
「えっ!? あのガッシュ将軍が怪我をされたんですかっ!?」
「ガッシュ将軍の事は知っているのか?」
「勿論です、新人の時は交流試合の時には色々指導をしていただきお世話になりました。その騎士狩りの事は部下にも伝えておきます」
「そうだな、よろしく頼む」
「それでは失礼いたします、ノエル様、時間がありましたら是非手合わせを」
「はは、機会があったらな」
そう言って俺はエレインと離れた。
「真面目そうでなかなか好青年じゃないか」
「そうですね、彼には期待してますよ」