元勇者、ガッシュ将軍を見舞う
「将軍、大丈夫ですか?」
「いやぁ、面目無い……」
俺とガーザスはレバニア国立病院に入院しているガッシュ将軍のお見舞いにやって来ていた。
ガッシュ将軍は頭に包帯、足や腕にギブスをしていて安静にしていた。
「サーニャから連絡が来た時は驚きましたよ。泣きながら『お父様が……お父様が……』って言って来たんですから」
「すいません……、取り乱してしまいまして……」
サーニャは思い出したらしく顔を真っ赤にしている。
「しかし、将軍ぐらいの実力者にこんな怪我を負わすなんてどんな奴だったんですか? 騎士狩りと言うのは?」
ガーザスが聞くと、ガッシュ将軍は神妙な顔をして言った。
「儂も完全に姿を見た訳ではないが実際に剣を交わしわかった事がある」
「何がですか?」
「あ奴は純粋に戦いを楽しんでおる……、ああいう奴が一番厄介な存在だ」
純粋に戦いを楽しむ……。
余程自分の腕に自信があるのか、それとも狂っているのか……。
「なぁ、ノエルどう思う? 騎士狩りの件」
病院からの帰り道、ガーザスが俺に聴いてきた。
「そうだな、将軍の話を聴いてみると何か目的があるとは思えないんだ」
騎士は花形の仕事で騎士団に入れる確率は非常に低い。
なれなくて騎士を恨んでの犯行とも思ったがどうも違うみたいだ。
「一応シュバルツに進言しておくか」