元勇者、ある噂を聞く
ある日の事、久しぶりにガッシュ将軍がやって来た。
「いやぁ、村もだいぶ賑やかになりましたな」
「おかげ様で訪れる人も多くなって来てますよ」
「うむ、実に素晴らしい事だ」
「そういえばレバニアはどうなってますか?」
「こちらも着実に改革を進めておる。もうすぐレバニア王国は『レバニア民主国』として生まれ変わる予定だ」
民主国、国民主体の新たな国か……。
「漸く儂も引退してのんびり暮らす事が出来ますわ」
そういえば引退したらこの村で暮らすって言ってたな。
シュヴィアの国王も引退したら隠居する、とか言っていたけどやっぱり田舎暮らしに理想でもあるんだろうか。
「ところで、ノエル殿。最近とある噂を聞きましてな」
「ある噂?」
「最近、『騎士狩り』が各国で暴れまわっている、らしいのです」
「騎士狩り、ですか?」
「えぇ、各国にいる騎士団を襲い騎士章を奪っていくそうなのです。実は最近我が部下が遭遇しましてな……」
「奪われたんですか?」
「いえ、なんとか死守したそうなんですがその者の証言によるととにかく素早く隙を見せず強い、そうです」
「そんな奴がいるんですか、覚えておきます」
「まぁ勇者であるノエル殿でしたら遭遇しても相手にはならんでしょう」
ガハハと豪快に笑うガッシュ将軍だったが……。
その数日後に騎士狩りに襲われ大怪我を負った、と言う情報が俺の耳に入った。