元勇者、ルーヤの想いを知る
ワイズ商店がオープンして1ヶ月が経過した。
「売り上げの方はどうなんだ?」
「おかげ様で好調だ。 やっぱり商品が良いんだろうし口コミでお客さんも増えてきている。特にルーヤの加護をつけた例の装飾品、すごいぞ」
「凄いって何か効果があったんですか?」
「あぁ、初日に指輪を買ったお客さんが来て『買った翌日に運命の出会いがあった!』て報告があったり、イヤリングを買ったお客さんは『クリティカル率が上がった!』とか反響が凄かった……」
「みんな……、喜んでくれてるの……?」
「あぁ、そうだよ」
「よかった……」
そう言ってルーヤはポロッと涙をこぼした。
「ど、どうしたっ!?」
「今まで……、この力を使って……、褒められた事が無かったから……、私……、必要ない子だと思っていたから……」
「そんな事は無いですよっ! ルーヤさんは凄い力を持ってるんですから誇るべきですよっ!」
そう言ってリリアはルーヤの手を握った。
「ここにいる人達は間違いなくルーヤさんの味方です! だからもっと胸をはって自信を持ってください!」
「リリア……、ありがとう」
ルーヤはリリアの手をギュッと握り返した。
俺はそれを優しく見つめていた。
後日、アリスがやって来た。
「やっぱりノエルに任せて正解だった! 私の目に狂いは無かったね!」
ルーヤの近況を教えるとアリスは笑顔でそう言った。
「ルーヤは頼られたり感謝されたりする事が少なかったからね、私以外では初めての経験かもしれない」
「まぁ、ルーヤも徐々にだが溶け込んでいるから今の所は問題は無い」
「うんうん、あっそうだ! 実はね魔族領で取れた食物を人間領で販売したいと思っているんだけどまずはこの村で売ってもらえないかな?」
……また厄介な話を持ち込んでくるな。
後日、色々相談して食べやすいように保存食や飲み物にして売ったらコレもまた大評判になったのは別の話……。




