元勇者、幼馴染みの店を手伝う
ワイズ商店オープン当日
「ん? 何か騒がしいな……」
夜がまだ明けてない頃、ガヤガヤと人の声がするので俺は外に出てみた。
「……何じゃこりゃ」
俺がみたのはワイズ商店の前に数人の冒険者達が行列を作っていたのだ。
「あんた達、まだ夜も明けてないのに並んでいるのか?」
俺は思わず声をかけてみた。
「勿論だよ! 此処のギルドの剣は切れ味が良いし使いやすいからな」
「俺は防具狙いだよ、頑丈で軽いからな」
「私はポーションよ、あのポーションはすぐに回復するし美容の効果もあるし」
美容の効果があるかどうかは別にしてうちの武器や防具はどうやら評判が良いみたいだ。
コレはもしかしたら幸先の良いスタートを切れるかもしれない。
「お待たせしました! ただいまよりワイズ商店をオープンいたします!」
夜が明けて遂にワイズ商店がオープンした。
開店直前には既に人だかりが出来てオープンと同時にお客が入って来た。
俺やサラ達も今日は店の手伝いをする。
店の前にはいろんな人からのお祝いの花が飾られている。
勿論、俺も出した。
まぁ、何がインパクトがあるかと言ったらシュヴィア王族からも出ている事だろう。
勿論、リリアの指示である。
「うわぁ~、このイヤリングおしゃれ~」
「指輪もデザイン良いよね~」
「コレ、持ってるだけで恋愛運がアップするんだって~」
「絶対買お!」
やっぱり女性客の目当ては装飾品類だ。
ワイズの読みは見事に当たっていた訳だ。
更に割引券の効果もありオープン初日から客は途切れず閉店の頃にはほぼ完売となった。
当然、売り上げは上々だ。
「まさか、こんなに売れるとは思わなかったよ、コレもノエル達のおかげだ。本当にありがとう」
「いやいや、ワイズの実力だよ」
「ハノイ村に戻って来て正解だったよ。下手したらあのまま俺は底無し沼から出られなくなっていた……」
「でも、まだこれからだろ?」
「あぁ、だけどでかくしようとは思わないよ。暫くは今のままで頑張るよ」
こうしてハノイ村はまた一歩発展していく。